炎の一筆入魂BACK NUMBER
切り札→レギュラーへ邁進中。
広島・曽根が狙う「ポスト菊池」
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byNaoya Sanuki
posted2019/03/25 10:00
昨年の日本シリーズ第5戦では見事、ピンチバンターの役目を果たした曽根海成。
「ポスト菊池」を期待する声も。
遊撃を本職とするも、現在の立場は菊池涼介という絶対的レギュラーのいる二塁のバックアップと捉えられている。
魅力は脚力を生かしたフットワークだけでなく、小学2年から5年間続けたソフトボールで鍛えられた強肩もまた大きな武器。菊池がつくり上げた新しい二塁手像に当てはまる能力を備えた選手といえる。
菊池は近い将来の米大リーグ挑戦を公言しており、チーム内では自然と曽根に「ポスト菊池」を期待する声が多くなっている。
「内容は言えませんが、菊池さんにはいろいろ教えてもらっています。ただ、ちょっと僕にはすごすぎて分からないこともありますが、すごく勉強になります」
ソフトバンクでは同じ遊撃手に今宮健太がいた。広島に来ても、越えなければいけない壁は高い。
東出打撃コーチとの特打。
途中出場から出場機会を増やし、レギュラーをつかんだ選手は広島でも数多くいる。現在監督を務める緒方がそうだったように、巨人へ移籍した丸佳浩や鈴木誠也、そして昨季規定打席に到達した野間もそうだ。
「まずは任されたところをしっかりやりたい」。
曽根は足もとを見つめる。切り札からレギュラーへと駆け上がるには、打力の向上が欠かせない。
「並みのレベルがあるとしたら、僕の打撃は底辺くらいのところにいた」
広島移籍を機に、打撃への意識は変わった。東出輝裕打撃コーチから付きっきりで指導を受け、昨季中は早出特打に居残り特打。昨秋キャンプでも振り込んだ。
「僕のレベルにまで落として話をしてくれる人はあまりいなかった」
意識の変化が感覚の変化へと変わり、打撃の成長速度を速めている。