炎の一筆入魂BACK NUMBER
切り札→レギュラーへ邁進中。
広島・曽根が狙う「ポスト菊池」
posted2019/03/25 10:00
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
Naoya Sanuki
新戦力についつい目が行きがちな開幕直前のプロ野球界。でも、もしかすると……ブレイクの可能性を秘める無名選手が、息を吹き返すベテランが現れるかもしれない。そんな期待を込めて、各球団のダークホース的な選手たちを集めてみました! 今回は広島東洋カープの曽根海成選手です。
広島の選手として初めて開幕を迎えようとしているのは、新加入の長野久義や小園海斗だけではない。
昨季途中にソフトバンクからトレード移籍した曽根海成にとっても、広島で迎える初めての開幕。プロ6年目のシーズンは、新たな可能性が広がっている。
グラウンドで張り上げる声の大きさだけが、チームへの浸透度を表しているわけではないだろう。「ソフトバンク時代から自信はあった」と胸を張る脚力と守備力を併せ持ったプレースタイルは今や、広島野球に欠かせぬ1ピースとなっている。
ソフトバンク時代、一軍出場はわずか2試合。
新天地で自分を表現することは簡単なことではない。実績がなければなおさら。ソフトバンクでの5年間で一軍出場わずか2試合の曽根が3連覇を狙う広島に加入したのは、昨年7月だった。
ソフトバンクでは2017年に一軍昇格を果たすも、定着はならず、'18年は一軍出場はおろか二軍でも思うような出場機会を得られないでいた。
だが、広島では、武器とする守備と足を存分に発揮し、25人のベンチ入り枠の中で存在感を示した。出番はしびれる試合終盤ばかり。
「僅差になればなるほど、責任は大きい。できれば出たくないですよ」
童顔をほころばせるも、一軍経験がほぼゼロだった曽根の本音だろう。
まだ精神力が備わっていないのならば、開き直るしかない。やるかやられるか。やらなければ、生き残れないのがプロの世界。その厳しさは、昨季途中までいたソフトバンクで痛感させられた。ここで、生き残るためにも、緊張感や恐怖心を拭い去るしかなかった。