“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER
絶対的本命が不在のセンバツ2019。
「複数の好投手」を満たす学校は?
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byKyodo News
posted2019/03/20 17:30
秋の明治神宮大会でも格の違いを見せつけた星稜・奥川。昨年夏の悔しい思いを胸に、甲子園のマウンドに再び立つ。
関東勢にも好投手が揃う。
千葉の習志野も注目だ。
昨年秋の関東大会準々決勝、東海大甲府戦では先発の山内翔太が3回、2番手の岩沢知幸が4回3分の0をそれぞれ2失点でこらえ、3番手の飯塚脩人が最後の2回を無失点に抑えている。飯塚の新チーム以降の防御率0.50は出場校中ナンバーワンで、山内の1.51も高レベルだ。プロのスカウトが注目する飯塚のストレートの最速は145キロ。上半身主体のピッチングフォームが下半身主体に変われば攻略は難しくなるだろう。
超高級左腕、及川雅貴(およかわ・まさき)を擁する横浜も優勝候補の一角を占める。
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及川のストレートの最速は153キロ。関東大会初戦の甲府工戦では3回裏に2失点したあと、3番から8番まで6連続奪三振を記録。その決め球はストレートが3球、スライダーが2球、フォークボールが1球というバランスのよさだった。3ボールになったあと、いかに辛抱して四球を出さないか、ひと冬越した成長を大舞台で見たい。
経験値の高い智弁和歌山、履正社は苦戦か。
そして、私が優勝候補の筆頭に推しているのが智弁和歌山だ。
昨年のセンバツ出場経験をもつ東妻純平(捕手)、西川晋太郎(遊撃手)、黒川史陽(二塁手)が旧チーム同様、センターラインを構成。池田陽佑は決勝で惜敗した大阪桐蔭戦で6回3分の0を投げ、強力打線を自責点2に抑えている。昨年の夏で勇退した名将、高嶋仁前監督が翌年を見据えたチーム作りをしているのがさすがで、中谷仁監督はその思いを継いで甲子園の舞台に臨める。
履正社は'14、'17年に決勝でそれぞれ龍谷大平安、大阪桐蔭に敗れ、優勝を逃している。'14年は溝田悠人、永谷暢章の複数エース、'17年は竹田祐の1人エースで臨んでいるが、今年は'17年のチームに近い。不安は絶対エースの左腕、清水大成が3月8日の練習試合で打球を左手人さし指付近に受けたこと。完治していなければ初戦の星稜戦は苦戦を強いられそうだ。