先発・宮市は存在感を残すも。

「ミーティングで聞いていた以上に相手がすごく良い動きをしてきて、大変でしたね」と語ったのは宮市だ。

「僕らはポゼッションするチームではなく、DFから（FWアレクサンデル・）マイアーにロングボールを当てていくスタイル。でも、今日はうまくできませんでした。僕も深い位置にいたので、そこから出ていくのは厳しくなりました」と反省したが、後半開始早々には大きな期待を抱かせた。ボックス内でパスに合わせて右足を一閃。ただし、コースがやや甘く、GKのパンチングに弾き出された。

　そして、この一撃がザンクトパウリの最後の花火となった。

　宮市のシュートの後、またも発煙筒で試合が中断された後半、ハンブルガーSVに3つのゴールが生まれた。前半終盤の選手交代でやや位置を変えたオレル・マンガラが、うまく攻撃を加速させて2点を演出すると、終了間際にはサイドバックのダグラス・サントスがぽっかり空いたスペースからミドルシュートを決めて、ダメを押した。

　4－0。

終盤にはロケット花火が！

　終盤には南ゴール裏からロケット花火のようなものがピッチ上空に放たれ、主審は一度、全選手とスタッフを屋内に退避させた。さらに、アディショナルタイムに同じことが繰り返されると早々と試合終了を宣言した。

　試合前はコールを響かせ合っていたバックスタンドのファンは、南ゴール裏に向かって非難の指笛を吹いていた。翌日のハンブルク版『ビルト』紙の一面はハンブルガーSVに「英雄たち」と、ザンクトパウリのファンに「愚か者ども」との見出しを与えた。

【次ページ】　酒井と宮市は冷静だった。