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酒井高徳と宮市亮が“地獄”で対決。
昇格を争うハンブルクダービー。 

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杉山孝

杉山孝Takashi Sugiyama

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photograph byUniphoto Press

posted2019/03/16 08:00

酒井高徳と宮市亮が“地獄”で対決。昇格を争うハンブルクダービー。<Number Web> photograph by Uniphoto Press

4位ザンクトパウリとの上位勢対決を制したハンブルガーSVは現在2位(3月14日時点)。ブンデス1部返り咲きがいよいよ射程圏内に入ってきた。

開始早々に焚かれた発炎筒。

 そんな緊迫感が、開始早々に暴発した。南ゴール裏で焚かれた3本の発煙筒に対して、北ゴール裏の4分の1のスペースに押し込められたハンブルガーSVファンが過剰なまでに反応したのである。青く焚かれた煙が一気にピッチ上を満たす。試合は5分ほどの中断を余儀なくされ、その間にもハンブルガーSV応援席では何かが燃えて、メインスタンドまで燃えカスが運ばれてきた。

 地元記者いわく、ザンクトパウリの年間予算は「ハンブルガーSVの半分か、それ以下」。両者の間にある大きな隔たりは、この日、勝ち点4差以上の開きとなってピッチの上でもはっきりと表れた。

 ボールを動かし続けるハンブルガーSVに対し、ホームのザンクトパウリは完全に自陣に引いて専守防衛の体制を取る。もちろん、反撃に転じた際には異様な盛り上がりを見せる。そんなザンクトパウリのアタッカーの1人が宮市亮で、4-4-2の右MFに位置して、快足を活かすチャンスをうかがっていた。

相手を揺さぶり続けるハンブルク。

 一方のハンブルガーSVでは、酒井高徳が4バックの右で先発していた。引き分けた昨年9月の対戦を振り返った元日本代表は、「絶対に勝たないといけないというプレッシャーがあるので選手は意外と硬くなってしまう」と、ホームでのダービーの難しさを口にした。今回はその裏返しのように、乗り込んできたハンブルガーSVが完全に流れをつかんだ。

 ザンクトパウリの最終ラインの間に侵入した選手へのパスでスイッチを入れると、さらに左右への大きな展開でブロックを揺さぶり続けた。

 置かれた環境や状況の差を吹き飛ばすのがダービーだが、この日は、最後までホームに追い風が吹くことはなかった。32分、ゴール正面でのハンブルガーSVのFKはクロスバーを叩いたが、詰めていたピエール・ミシェル・ラソッガが頭で押し込んだ。ザンクトパウリのファンは、文字通り声を失った。

【次ページ】 先発・宮市は存在感を残すも。

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