月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
長野広島移籍をスクープした東スポ。
次の注目は“夜王・長野”と“赤長野”。
posted2019/02/28 07:00
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph by
Kyodo News
プロ野球キャンプインの2月。
スポーツ紙はある男で盛り上がった。「赤長野」である。広島カープに移籍した長野久義である。
前々回(12月)の当コラムは《「活字プロテクト」、丸よりも炭谷よりも人的補償選手がアツい。》と締めた。
ドラフト指名予想を楽しむ記事があるならば、今それと同じくらい面白いのはFAにともなう「プロテクト(人的補償)」の予想記事ではないか?と。私はそれを「活字プロテクト」と名付けた。
たとえば、昨年末に出たこの記事がバツグンだった。
『FA獲得・丸の人的補償 原巨人仕掛けられた“鯉の揺さぶり”』(東スポ・12月20日付)
記事には各球団の駆け引きの様子が載っていた。巨人・石井球団社長は広島にプロテクトリストを送った際に、広島の松田オーナーから直接電話で『阿部とかベテランを外していないでしょうね?』と念押しされたというのだ。
《巨人サイドからすれば、なんとも不気味な投げかけだったに違いない。松田オーナーの言葉を額面通りに受け取れば「高年俸のベテラン勢でも必要とあらば獲るぞ」とのメッセージだろう。一方ではベテランを手厚くプロテクトさせることで、マークが薄くなる若手有望株たちが“真の狙い”とも解釈できる。はたまた、裏の裏をかいて…といくら考えても答えは見つからない。》(東スポ・同)
記事の読みどころはさらにある。
「広島はベテランは獲らないでしょう」
マスコミ陣に対して巨人・石井球団社長は「誰を獲るのかな。長野かな?」と冗談とも本音ともつかないセリフも残していたという。
《長野がプロテクト漏れしたかどうかはともかく、球団内からは「育成に力を入れる広島は、仮にベテランがリストから外れていても獲らないでしょう。大胆にベテランを外して“攻めたリスト”になっているはずだよ」との声も聞かれている。》(東スポ・同)
まさに恋の駆け引きならぬ、“鯉の揺さぶり”。活字プロテクトの面白さ。