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心ここにあらずのA・サンチェス。
マンU戦力外の日が近づいてきた。 

text by

粕谷秀樹

粕谷秀樹Hideki Kasuya

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photograph byUniphoto Press

posted2019/02/24 10:00

心ここにあらずのA・サンチェス。マンU戦力外の日が近づいてきた。<Number Web> photograph by Uniphoto Press

バルサ、アーセナルを経て赤い悪魔の一員となったアレクシス・サンチェスだが、このまま終わってしまうのか?

太りすぎたルカクより序列が下。

 案の定、昨シーズンのサンチェスは散々の出来だった。12試合2得点。周囲との連携が冬の移籍で整うはずがなく、イージーなボールロストまで繰り返す。2018-19シーズンも事態は好転しない。モウリーニョがゲームプランを変えるはずがなく、サンチェスはモチベーションすら刺激できていない。

 FWの序列もマーカス・ラッシュフォード、アントニー・マルシャル、ジェシー・リンガード、太りすぎたロメル・ルカクを下回り、度重なる故障にも苦しんでいる。

 もはやユナイテッドを離れるか、監督の交代を待つしかない。そんなある日、サンチェスにチャンスが訪れた。成績不振によってモウリーニョが解雇され、オレ・グンナー・スールシャールが暫定監督に就任したのである。

「自由な発想で攻めるように」

「積極的にプレーしよう。2、3点のアドバンテージがあっても守りに入らず、さらに1点、もう1点を狙うスタイルがユナイテッドのアイデンティティーだ」

「ボールロストを恐れず、大胆に仕掛けること」

 就任早々の訓示に選手たちは嬉々とした。プレーエリアが高くなり、ライン全体がコンパクトになった結果、二次、三次攻撃がスムーズになった。今シーズン、モウリーニョ体制下の平均ゴールは1.71。スールシャールのチームは2.38。データは正直だ。

スールシャール体制でも蚊帳の外。

 ところが、サンチェスは蚊帳の外である。多くの選手が心躍らされた新監督のメッセージにも、ひとりだけ反応が薄かった。ウイングでも中央でも、期待にはまだ応えていない。

「ケガを繰り返していたので、思い切りに欠けるようだね。しかし、サンチェスほどの実績があれば、いつか必ず復活する。心配はしていない」

 スールシャールはモウリーニョと異なり、選手を公の席で批判はしなかった。しかし、いつまで辛抱してくれるだろうか。2月21日現在、リンガードがハムストリング、マルシャルは鼠蹊部を痛めて戦列を離れているが、チェルシーとのFAカップ5回戦でサンチェスはキックオフをベンチで迎えた。

 先発はルカクとフアン・マタ。したがってサンチェスの序列は6番手にまで落ち、リンガードとマルシャルのコンディションが整うと同時に、ベンチにも入れない日々がやって来る公算が非常に大きい。つまり、戦力外だ。

【次ページ】 どこか投げやりなリアクション。

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アレクシス・サンチェス
マンチェスター・ユナイテッド

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