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心ここにあらずのA・サンチェス。
マンU戦力外の日が近づいてきた。 

text by

粕谷秀樹

粕谷秀樹Hideki Kasuya

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photograph byUniphoto Press

posted2019/02/24 10:00

心ここにあらずのA・サンチェス。マンU戦力外の日が近づいてきた。<Number Web> photograph by Uniphoto Press

バルサ、アーセナルを経て赤い悪魔の一員となったアレクシス・サンチェスだが、このまま終わってしまうのか?

どこか投げやりなリアクション。

 守備的なプランを推し進めたモウリーニョのもとでも、選手たちに自由を与えたスールシャール体制下でも輝けないのだから、もはやサンチェスの居場所はない。試合前の練習も彼だけ精気がない。

 好人物のマタ、リーダーシップ豊かなアンデル・エレーラが気を遣い、話しかけたり、抱きついたりしても、サンチェスのリアクションはどこか投げやりだ。

 プレミアリーグに飽きてしまったのか。エージェントとともにプランニングしていた移籍が頓挫したのか。いずれにせよ、サンチェスからはヤル気が感じられなくなった。

 なんとなく試合会場に来て、なんとなくウォーミングアップし、なんとなくプレーする。やはり、ユナイテッドは望んだクラブではなかったのだろう。心、ここにあらず……。

 すべての人間の希望が叶うわけではない。だれしもが我慢し、来たるべきチャンスに備えて研鑽を積み重ねる。目の前に、ダビド・デヘアというすばらしい見本がいるではないか。書類の不備という初歩的なミスでレアル・マドリード移籍がご破算になったものの、その後はすばらしいパフォーマンスでユナイテッドを支えている。この姿こそがプロの証だ。

わがままなようにも見える。

 サンチェスの場合は環境適応力云々ではなく、単なるわがままのようにも見える。望まなかった移籍に、気持ちが切れているようだ。「長年、付き合っていた女性との別離による傷心」が、不調の最大要因と一部では伝えられている。

 しかし、人生は出会いと別れの繰り返しであり、プライベートの問題をピッチに持ち込むようではプロ失格だ。実母が亡くなったとき、チェルシーのフランク・ランパード(当時)はチャンピオンズリーグでゴールを決め、空に向かって祈りを捧げた。

 アーセナルからユナイテッドへ……。サンチェスは選択を誤った。シーズン終了後は移籍するしかないだろうが、週給50万ポンド(約7000万円)もの高給取りは、受け入れ先が限られる。シティはFWを必要とせず、パリSGも三十路を迎えたストライカーには興味を示さないだろう。カタールか、あるいは中国か。

 檜舞台が遠くなる。

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アレクシス・サンチェス
マンチェスター・ユナイテッド

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