セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
インテルの風紀を乱す毒婦ワンダ。
夫イカルディは主将を剥奪され……。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2019/02/20 11:15
人気グラビア・アイドルだったワンダ・ナラ(右)。イカルディと結婚する前は元アルゼンチン代表マキシ・ロペスの妻だった。
個性派軍団の風紀が乱れた。
個性派を集めた今季のチームは序盤からセリエA上位をキープはしているものの、大事な試合を落とすことが多く、CLではグループリーグ敗退。すると個性派軍団の風紀も乱れた。
クリスマス前の練習にはMFナインゴランが、また年始休暇明けのチーム合流にはFWイカルディとFWマルティネスがそれぞれ遅刻し、クラブは引き締めのために高額の罰金を科した。
気詰まりムードの中迎えたコッパ・イタリア準々決勝でラツィオに敗れると、2月3日には監督を代えたばかりのボローニャ相手にサンシーロで敗れる失態を演じる。
2019年のリーグ戦初勝利を上げたのは2月9日の第23節パルマ戦で、1-0の辛勝だった。
エース兼主将イカルディのゴールは第16節ウディネーゼ戦から途絶えている。
それでも、パルマ戦での白星でようやく仕切り直しだと誰もが考えていた矢先、その主将の妻ワンダがロッカールームを真っ二つに分断した。
「マウロをもっと守ってやって」
ワンダは反則とでもいうべき“ローブロー”を次々に繰り出してきたのである。
「チームメイトたちはマウロ(・イカルディ)をもっと守ってやってほしい。合流遅れの罰金騒ぎはロッカールームの中の誰かが(メディアに)漏らしたに決まってる」
パルマ戦の夜、自身が出演するTV番組でいけしゃあしゃあと言ってのけた後、ワンダはさらに“今のチームメイトたちは夫にろくなパスを出さない”、“イカルディの舎弟ラウタロをもっと使いなさい”という趣旨の発言も加えた。
一方的にチクリ魔や無能扱いされた同僚選手たちや、仕事に口を出された指揮官の顔色が変わったことは想像に難くない。
決定的な一打となったのは、1月の移籍市場でプレミアリーグへの移籍を志願したものの叶わず、忸怩たる思いを抱えながらプレーしているクロアチア代表FWペリシッチを指して、ワンダが「インテルから出て行きたいなんて、あの人自身に何か問題でもあるんじゃないの?」と言い放った一言だ。これは、かなり侮辱的かつ挑発的な人格攻撃にあたる。
件の移籍問題をこじらせたのはペリシッチの失態だったとはいえ、主将の妻でありその代理人という立場にある人間が、TVという公の場で口にしていい発言ではない。