プロ野球PRESSBACK NUMBER
欧州の、こんなところに野球人が!
オーストリア代表監督・坂梨広幸。
text by
宮寺匡広Masahiro Miyadera
photograph byHiroyuki Sakanashi
posted2019/02/19 08:00
2015年からオーストリア代表監督を務めている坂梨(右端)。ヨーロッパの地で野球普及に努めている。
「助っ人外国人」としてプレー。
オーストリア代表にとっても、国内リーグのレベル向上のために日本人選手を連れて帰りたい思惑があった。そして坂梨は2004年からオーストリアのクラブチームで「助っ人外国人」としてプレーする。
「オーストリア野球は、選手、チームによってレベルの差が激しかったです。それに練習は短いし、参加する選手も少ないので全体的にモチベーションも低いなと感じました」
それでも2009年には、選手兼任監督として10チームが参加するトップのリーグで優勝、'13年からは3連覇と指導者としても手腕を発揮。オーストリア野球連盟から高評価を得ると、育成年代の代表コーチや監督を経て2015年に代表監督の地位に上り詰めた。
国内リーグ強化策が結実。
過去、オーストリアの選手権出場は2007年の1回のみ。それもギリシャの出場辞退による繰り上げだったので、自力で予選を突破したことはなかった。
坂梨が率いるオーストリア代表は2017年から始まった予選で、打力を武器にブルガリア、ギリシャ、イスラエル、セルビアといったライバルを次々に撃破。特にギリシャとイスラエルはアメリカ人を帰化させて戦力の充実を図っていたが、見事に打ち勝った。それは、オーストリアがかつての坂梨のように「助っ人外国人」を国内リーグに勧誘してきた成果だった。
「各チームが140km以上を投げられるような、アメリカ人やベネズエラ人を獲得するようになったんです。それによってバッターが速い球を打つための工夫を身につけていきました」