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欧州の、こんなところに野球人が!
オーストリア代表監督・坂梨広幸。
posted2019/02/19 08:00
text by
宮寺匡広Masahiro Miyadera
photograph by
Hiroyuki Sakanashi
ヨーロッパと野球。この2つの言葉は、あまり結び付かないだろう。
だが、ヨーロッパで野球が行われている国は意外と多く、1954年から2年おきに開催される「ヨーロッパ選手権」には今や予選も含めて28カ国が参加している。
そして、今年9月にドイツで開催されるヨーロッパ選手権では、史上初の日本人監督が誕生する予定だ。
オーストリア代表監督、坂梨広幸。
“音楽の都”ウィーンを首都に持つオーストリアで野球が行われていることなんて、日本はもちろんオーストリア国内でも知っている人は少ない。実際、オーストリアの人口が870万人に対して野球人口は約5000人。スポーツ用品店に野球道具など置いていないし、野球場はグラウンドがデコボコだったりフェンスがなかったりする。
しかし、坂梨は選手として2004年に初めてオーストリアの地を踏んでから15年の月日をかけて、野球不毛の地に種をまいてきた。
最初は英語教師を目指していたが……。
「監督をやれているのは、適任がいないときに自分がたまたまそこにいたというだけです」
坂梨はそう謙遜するが、「そこにいた」のは決して「たまたま」ではない。
山口大学で英語教師を目指しながら軟式野球部でプレーしていた坂梨は、4年生のときに地元山口で行われた世界少年野球大会に運営スタッフとして参加した。得意の英語を活かして外国人コーチのアシスタントを務めていたところ、オーストリア代表チームの関係者からオーストリアでプレーしないかと勧誘される。当時、採用試験に失敗して進路に悩んでいた坂梨は、二つ返事でこの提案を受けた。