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「上司にしたい女性」マリリンは
カーリングの選手&指導者&敏腕GM。
text by
竹田聡一郎Soichiro Takeda
photograph byShigeki Yamamoto
posted2019/02/13 11:00
昨年12月、「ユーキャン新語・流行語大賞」の授賞式に出席した本橋麻里。「そだねー」は年間大賞に選ばれた。
「やってて良かった」と思えるものに。
それはカーリングというスポーツの普及の先に見える、ある意味でのブランディングだ。審判のいないスコアゲームという、この稀有なスポーツには特有のコミュニケーション能力が求められ、メンタルスポーツの側面も持つ。
つまり人材として「カーリング経験がある」という事実を、キャリアとして活用できるような認知を勝ち取り、社会に浸透させていきたいという高邁なゴールだ。
「生きている中でやってて良かったなと思えることって、実は『やっとけばよかった』より圧倒的に少ないと私は思うんです。私は幸運なことにカーリングに出会えて本当に感謝しているし、続けた自分を誇りに思っています。その思いをすべてのカーラーが共有できるような、そんなスポーツに」
夢は大きい。笑う人だっているかもしれない。しかし、人口5000人のオホーツク海に面した日本の端っこに生まれ、3度目の五輪でメダルを獲得した。ゼロからチームを立ち上げ、そのチームは8年かけて世界の頂点まであと一歩と迫っている。
彼女の軌跡を改めて辿ると、そんな壮大な野望もあるいは、と思わせてくれる。時間はかかることを彼女は知っている。アイスに軸足を置き、スーツを着たカーリング界のブランドマネージャー、本橋麻里の挑戦は続く。