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バレー清水邦広、復帰も再び膝手術。
度重なる試練もコートに必ず戻る。
 

text by

米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byPanasonic PANTHERS

posted2019/02/12 10:45

バレー清水邦広、復帰も再び膝手術。度重なる試練もコートに必ず戻る。<Number Web> photograph by Panasonic PANTHERS

パナソニックは現在レギュラーラウンド首位。清水は無念の再離脱となったが、一丸となってプレーできるか。

リハビリ中でも、積極的にイベントへ。

 それでも、数多くのバレー選手を復帰に導いてきた荒木大輔医師の、「本当に大きな怪我だけど、絶対に治らないという怪我じゃない。復帰して、もし納得がいかなかったらその時は辞めてもいいから、今すぐ辞めるとは言わないでほしい」という懸命の説得に心を動かされた。

 怪我から3日後に手術を行い、長いリハビリの日々が始まった。少し前進しても、痛みや腫れが出て後戻りすることが何度もあり、その度に気持ちも浮き沈みを繰り返した。

 そんな中、清水はバレー教室やパラバディ研修など様々なイベントに積極的に参加した。怪我でプレーできない間は公の場に出ることを避ける選手が多いが、清水はこう話す。

「怪我をしてからたくさんの人が応援メッセージをくれたりしたので、『今、元気ですよ』というのをお見せするために、イベントやいろいろな活動に参加しました」

 そこにはプロ選手としての矜持もあった。

「僕はプロとしてやっているので、もっといろんな人にバレーボールに興味を持ってもらいたいという思いも使命もあります。プレーできなくても、リハビリをしながらできることはたくさんあったので、いろんな場に出て多くの人と触れ合ったり、バレーを知ってもらうことが、その時の自分の仕事だと思ってやっていました」

ジャンプ力は20cm近く下がっている。

 10月からは、小学生バレーと同じ2mのネットでスパイクを打ち始め、中学生の2m30cm、高校生の2m40cmと徐々に上げていった。最初は2mですら、スパイクがネットにかかった。12月半ばにVリーグと同じ2m43cmのネットで練習し始めたが、最初はすべてスパイクがネットに当たり、「こんな状態で試合に戻れるのか」と不安にかられた。チーム練習に参加するようになっても、「自分のはるか上から福澤に打たれて嫌になる」ともらしていた。

 そうして一段レベルを上げるたびに直面する不安を1つ1つ払拭しながら、ようやくたどり着いた復帰戦だった。

「昨年に比べたら衰えているし、ジャンプ力も20cm近く落ちているので、見ている人は、『あれ? まだ全然だな』と思うかもしれない。でも急にバーンと戻れるわけじゃないので、時間をかけて本当に1cmずつ。その分、違う形で得点を取っていかないと」と冷静に現状を受け止める。

【次ページ】 チームの優勝を見て、「自分ももう一度」。

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