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バレー清水邦広、復帰も再び膝手術。
度重なる試練もコートに必ず戻る。
 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byPanasonic PANTHERS

posted2019/02/12 10:45

バレー清水邦広、復帰も再び膝手術。度重なる試練もコートに必ず戻る。<Number Web> photograph by Panasonic PANTHERS

パナソニックは現在レギュラーラウンド首位。清水は無念の再離脱となったが、一丸となってプレーできるか。

チームの優勝を見て、「自分ももう一度」。

 復帰までの道のりの中、挫折しそうになるたびに心の支えとなったのが、「もう一度このメンバーで優勝を味わいたい」という思いだった。

 昨シーズンのVリーグ・ファイナル2試合目が行われた3月18日、入院中だった清水はチームに合流し、会場で試合を見つめた。

「みんなが優勝する姿を見て、『やっぱりこの舞台にもう一度立ちたいな』と思ったんです。永野さんや白澤(健児)さんや福澤といった年齢が上のメンバーは、いつまでも長くこうして一緒にバレーができるわけじゃない。だから『1年1年大事にやっていこうな。だから今年優勝しような』と毎回言っていました。その中で僕が一番最初に離脱してしまった。でもまた復帰して、もう一度決勝の舞台に立って、みんなと一緒に喜びを分かち合いたいという強い思いが芽生えました」

 そのファイナルの夜、清水と永野、白澤、福澤、ミハウ・クビアクが集まった。その場で永野に言われた言葉が忘れられないと言う。

「なんでお前がこんなことになるんだって、オレだけじゃなく全員が思ってる。でもオレたちは立ち止まれない。だから清水もここからもう一度はい上がっていくしかない。どんなことでも支えるから何でも頼ってくれ。何でも助けるから、もう一度一緒にバレーボールをしよう」

「やっぱり人間、欲が出るんですよね」

 2月2日の復帰戦の後、コートインタビューに立った清水は、笑顔で周囲への感謝の思いを伝えていたが、「特に福澤、白澤さん、永野さんに……助けられて、やってこられた」と話した時だけは声を詰まらせた。

 しかしここはまだ完全復活へのスタートライン。永野はこう語った。

「嬉しかったけど、まだ完全復帰じゃない。完全復帰するための1つのステップ。だから『ナイススパイク』とは言ったけど、『おかえり』とはまだ言えない。試合を通して出た時に、もっとお祝いしてあげたいですね」

 もちろん清水も、「まだまだです」と先を見据えた。

「次はパナソニックでレギュラーを勝ち取ること。決勝や大事な試合までにはまだ時間があるのでコンディションを上げていきたい。まだ復帰しただけで、このメンバーでもう一度優勝を味わうという一番の目標は達成できていないので、そこに向けてやっていきます。そうすれば代表への道も開けてくる可能性もある。まだまだ、東京オリンピックも僕はあきらめていません」

 リハビリ中は「まったく考えられない」と言っていた“代表”や“東京オリンピック”という言葉が自然と出てきた。

「やっぱり人間、欲が出るんですよね」と笑った。

 ここで一度記事を書き終えていたのだが、復帰から9日後の2月11日、清水は感染症により、再度、右膝の手術を行うことになった。

 どん底からはい上がり、ようやく復帰を果たしたばかりだというのにまた……。本人の失意はいかばかりか、はかり知れない。

 それでも、清水はツイッターに「神様はどれだけ試練を与えてくるのか分かりませんが 全部はねのけていけるように頑張ります」というコメントを載せた。

 少し強がりだったとしても、清水は決して折れてはいない。彼が再びコートに戻ってくる日を、何度でも待っている。

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