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辻監督に指名されて「はぁ……」も、
秋山翔吾は自分なりの主将像を築く。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2019/02/10 11:30
名実ともにチームリーダーとなった秋山翔吾(右)。日本代表の稲葉篤紀監督と笑顔で談笑する場面も。
キャプテンマークの効力。
追いすがるソフトバンクを振り切り、リーグ優勝を果たしたが、その絶対に負けられない試合が続く9月、数々の逆転劇を演じたのも、また秋山だった。
「キャプテンだからみんなが話を聞いてくれるのなら、誰がやってもいいでしょう。それだけキャプテンマークには効力がある。自分がやるべきことは昨年までと変わったわけじゃないけれど、周囲の見方が変わるかもしれません。『キャプテンなのに』とか『キャプテンなんだから』と……。
そういうふうに、プレー中に思われると苦しいだろうけど、それもやってみないとわからない。苦しく感じるときが、いつか来るかもしれない。でも、苦しまないために、がんばらなきゃいけないなとは思っています」
辻監督は言った。
「投手陣は菊池雄星に頼り切っていたところもあるし、野手にしても浅村を頼りにしていたところはあるでしょう。だから今年はレギュラー陣が自分のレベルアップに努めて、すべての選手が勝ちにこだわった野球を、選手のほうから自発的にやってほしい。選手が考えてやっていかないとチームは強くなりませんから」
秋山は語る。
「僕がやることは今までと変わらない。そして声をかけるとか、コミュニケーションを取るとか、それはキャプテンだけではなくて、みんながやれることをやればいいと思う。じゃあ、なんのために僕がキャプテンになったのか……。今年はずっと自分がキャプテンになった意味を考え続けるんだと思いますよ」
秋山は、秋山にしか実現できない「キャプテン像」を作っていく。