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“底知れぬ男”長野久義へ――。
ある巨人ファンからの惜別コラム。
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph byKyodo News
posted2019/01/08 12:20
巨人入団1年目の長野久義。ホームランを打ってファンに挨拶をしているシーン。
いつしか坂本世代から外され……。
当然、原監督も由伸前監督も「4番長野」を幾度となく試した。だが、'14年オフの右膝と右肘手術以降は攻守に精彩を欠き、盗塁数が激減し併殺打が増えるなど脚力の衰えも目立った。
いつの間にか坂本の世代じゃなく、阿部・村田世代と同列のベテラン組で語られることも増え、年々シビアな立ち位置へ。昨季は「7番ライト」で開幕スタメン、一時は打撃不振から先発落ちするが徐々に盛り返し、最終的に規定打席にはわずかに届かなかったものの116試合、打率.290、13本塁打、52打点、OPS.793というチームの外野手ではトップクラスの成績を残した。
35歳、年俸2億2000万円の起用法。
そして、オフに原監督が復帰するわけだが、最近の指揮官の発言からも背番号7の微妙な立場は伝わってきた。
スポーツ報知の新年インタビューでは、「2番センター丸」構想を語り、「4番を孤独にさせない存在」とゲレーロの再生を匂わせ、陽岱鋼は「持っているものはすごい」なんて大きな期待を懸ける。
一方で、長野には「開幕前に悪いと判断したら『半袖がちょっと着れるような時期になったら呼ぶよ』と。力は認めている。うまく使えばすごい戦力になる」とこれまでのような不動のレギュラー扱いはしないことを明言していた。
丸、陽、ゲレーロが'19年シーズンの外野基本ベース。さらに原監督に以前「もう1人カメイがほしい」と言わしめた仕事人・亀井善行がいて、若手では石川慎吾、重信慎之介、松原聖弥、和田恋らが虎視眈々と出番を窺っている。
今年12月で35歳、年俸2億2000万円のベテラン長野の起用法がかなり難しくなるのは明らかだった。