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“底知れぬ男”長野久義へ――。
ある巨人ファンからの惜別コラム。
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph byKyodo News
posted2019/01/08 12:20
巨人入団1年目の長野久義。ホームランを打ってファンに挨拶をしているシーン。
まだまだこんなもんじゃない!
10年目のリスタート。
天然芝の本拠地マツダスタジアムで下半身への負担も軽減されるだろう。気遣いの性格はカープの明るいチームカラーにすぐ馴染みそうだし、小学5年生から中学卒業まで英会話塾に通っていたので外国人選手とのコミュニケーションも問題ない。かと思えば、中学時代に親の反対を押し切り、部活ではなく硬式野球の強豪チームへ入団。父親とは3年間ほとんど口をきかなかった芯の強さも持っている。
数年前に長野コラムでこんな一節を書いたのをよく覚えている。
「4番を打つわけでもない。ライバルがいるわけでもない。いったい、長野は何を目指し、誰と闘えばいいのだろう? このまま終わるのか。それとも変わるのか……」と。
鮮烈なデビューから30代の停滞。近年、巨人ファンも背番号7に対して「こんなもんじゃない」から、いつの間にか「このまま終わってしまうのか?」なんて妙な寂しさを感じていたのは事実だ。
だが、冷静に見たら入団から9年連続100安打を達成して、それでもまだ「物足りない」と思わせる底知れぬ選手が他にいただろうか?
ぜひ、長野久義には新天地の広島で、自身2度目の首位打者のタイトルを獲得するくらいの大活躍をしてもらいたい。そして、カープファンだけでなく、巨人ファンにもこう思わせてほしいのだ。
見たか、まだまだ長野久義はこんなもんじゃない、と。
See you baseball freak……