ファイターズ広報、記す。BACK NUMBER
出会いと別れのストーブリーグ。
球団広報が見た去り際の美学。
text by
高山通史Michifumi Takayama
photograph byKyodo News
posted2018/12/23 11:30
引退する大嶋。ソフトボール出身という異色の経歴で、2012年ドラフト7位で入団。通算15試合に出場して18打数3安打、打点1。
トレードとなった2人を見て。
選手の往来のある交換トレードは、また少し異なる。球団を去る選手がいれば、相手球団から加入する選手もいる。東京ヤクルトスワローズと2対2で成立し、12月11日に発表された。
この場合、当広報部は高梨裕稔投手と太田賢吾選手から惜別、新天地にかける思いを聞き、コメントとしてリリース、配信する業務がある。
今回は直接、会うことはできなかった。電話を通じて、コメントをもらうことになった。ともに愛着はあったようで、ショックは受けていた。会社員に例えれば、突然の転勤、異動の内示に少し似ているのだろうか。当事者ではないので知り得ない感覚ではあるが、もっと衝撃は強いのだとは思う。
高梨投手とは、配信用のコメント以外に少しだけ思い出話、雑談もした。複雑な思いを抱きつつも「活躍してファイターズに恩返しします。やります」と宣言できる心意気に、おべっかではなく胸を打たれた。太田選手も「チャンスだと思って、やっていきます」と明るい。感傷的になる自分が、拍子抜けするほど、たくましかった。
別れがあれば出会いもある。
別れがあれば、出会いもあるのがオフである。
金子投手のほか、ヤクルトスワローズから加入する秋吉亮投手と谷内亮太内野手とも対面したが、新天地での再スタートを楽しみにしてくれているように感じた。
新戦力の「真打ち」は、王柏融選手。12月20日に来日した。前日に台湾での会見を終えて一夜明け、新千歳空港に到着した。薄手のコートを軽快に羽織り、冬本番の北海道にしては軽装で登場した。「まったく寒くない。よろしくお願いします」と、颯爽としていた。同便に乗り合わせた台湾の方々からは、激励のシャワーを浴びていた。
激動のストーブリーグの終わりが、見えてきたように感じる年の瀬を過ごしている。
ファイターズの「ゆく人くる人」から、お歳暮のような心地よい刺激を受けているのである。