“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
横浜FCと瀬沼優司がJ1を逃して涙。
東京V戦、終了間際の2つのプレー。
posted2018/12/07 07:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
あまりにも残酷な結末だった。
J1参入プレーオフ2回戦の横浜FCvs.東京ヴェルディ。リーグ3位の横浜FCは、6位の東京ヴェルディとホーム・ニッパツ三ツ沢球技場で対戦した。
横浜FCは引き分け以上でジュビロ磐田との決定戦に進出できる状況だった。しかし5位の大宮アルディージャとの1回戦、退場者が出て数的不利に立たされながらも勝ち上がった東京Vの勢いは凄まじかった。
優位な条件だったからか、横浜FCは守備的な戦いとなり、決定機も決められず、結果として後半アディショナルタイムのほぼラストプレーのセットプレーの前に沈んだ。
タイムアップの瞬間、横浜FCのFW瀬沼優司はその場に呆然と立ち尽くした。
この試合、瀬沼はMVP級の活躍と言える今季最高のパフォーマンスを見せた。だが、同時に2つのプレーが勝敗を左右するものとなり、不運にもそれが悪い方向に転がってしまった。
決して瀬沼を批判しているのではない。難しい判断を一瞬で迫られ、結果として選んだプレーがショッキングな敗戦に直結した。そんな無情なコントラストを味わったのだ。
FWだったがボランチ起用。
瀬沼は今年7月、モンテディオ山形から横浜FCに完全移籍でやってきた。
今年でプロ7年目を迎える28歳のFWは、このクラブでサッカー人生初の経験を積み重ねていた。
185cmの長身と屈強なフィジカルを持ちながら、スピードもあるタイプ。桐光学園、筑波大を経て清水エスパルスでプロキャリアをスタートさせ、ポストプレーと裏抜けを役割としたターゲットマンとしてプレーし続けた。
だが、横浜FCのタヴァレス監督は彼をFWだけでなく、ワイド、そして今はボランチで起用した。
「今のポジションはシャドーと表現されますが、それよりちょっと低い位置。どちらかというと3ボランチの右というイメージですが、サッカー人生でやったことがなかった。真ん中の佐藤謙介さん以外の2人(野村直輝、渡邊一仁)がケガしてしまったので、僕が使われるようになったんです」