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酒井高徳がブンデス2部で新境地。
キャプテンは辞退しても立場は不変。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byGetty Images
posted2018/12/01 11:00
ハンブルガーで奮闘する酒井高徳。日本代表引退後も、クラブでは主力としてプレーしている。
37歳の新監督のもとで。
そして試合終了間際の90分、同点ゴールを浴びてしまう。
「攻撃陣が1対1の場面で決め切れなかったこともだけど、守り切れなかったディフェンス陣にも責任がある。チーム全員で戦っているのだから、責任はみんなにある。それでもディフェンダーとしては、あれだけ我慢して相手のやることはロングボールしかないとわかっていたにもかかわらず、最後やられたのは悔しいですね」
新監督就任後のリーグ戦での連勝は3、国内カップ戦を含む公式戦連勝は4で止まった。
第10節終了時点で5勝3分2敗で5位という成績を受け、HSVは監督交代に踏み切った。新監督はシュツットガルトで指揮を執っていたハネス・ボルフ。37歳のボルフ監督は、2017年に最優秀監督賞を受賞している。今年1月にシュツットガルトを成績不振で解任されたものの、その手腕と将来性を期待されての選出だった。
教師みたいなオーラがある。
そんなボルフ監督はPCを駆使するラップトップトレーナーと呼ばれ、ブンデスリーガで注目される若手指揮官のひとり。ニュルンベルク2部でプレーした経験はあるが、24歳のときには選手をしながら監督業をスタートさせている。
「教師のようなオーラを持つ監督ですね。選手と監督との間にキチンと線を引いている。それでいて、選手に関わろうとする姿勢もあり、監督らしい監督という印象。面白いのはスパイクを履いたところを見たことがないこと。ボールを蹴ったりするのも見たことがないんですよ(笑)」
そう話す酒井が日本人記者の取材を受けていると、通りかかったボルフ監督は興味津々といった表情で酒井に声をかけた。指揮官には気さくな雰囲気が漂っていた。
「うちのチームは攻撃面でクオリティの高い選手が揃っている。ただ守備面では、相手のカウンターにやられることも多かった。ボルフ監督が来てそのカウンター対策を選手に落とし込み、守備の安定性をもたらしてくれた。そこが勝ち点を獲れている理由だと思う。今日はカウンターでやられてしまったけれど、本当に久しぶりという感覚です」