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休まない剛腕、佐藤達也の引退。
オリ後輩が惚れた「天性の人柄」。 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byKyodo News

posted2018/11/30 07:30

休まない剛腕、佐藤達也の引退。オリ後輩が惚れた「天性の人柄」。<Number Web> photograph by Kyodo News

11月25日に京セラドームで行われたファン感で最後のユニフォーム姿を披露。家族からも花束が贈られた。

抑えまくった2年間とその後。

 2013、2014年は2年連続で67試合に登板し、投げまくった。2014年には6勝4敗1セーブ42ホールドを記録し、防御率は1.09という数字を残した。しかし佐藤は“鉄腕”ではなかった。

 2015年以降は打たれる場面が増えていった。周囲からは2年間の疲労だと見られたが、本人がそれを認めたことはない。今でもこう話す。

「僕的にあまりわからなかったんですよ。どれが蓄積疲労なのかとか、わからないですもん。確かに次のシーズンが始まる時には、前の年のいいイメージと比べると、『あー体が動かないな』ということはありましたけど、シーズンが始まったらそんなに……」

 だがストレートは以前のようには走らなくなっていった。腰や股関節などの怪我も増えた。

平野佳寿からのメッセージ。

 佐藤は“休まない”投手だった。

 チームがオフの日などに、たまたま取材で青濤館を訪れた際、「誰もいないだろうけど」と思いながら念のために室内練習場をのぞくと、いつもいるのは佐藤だった。

 山本も「オフの日の朝に僕がゆっくり起きて、お風呂に行ったら、タツさんは練習を終えてシャワーを浴びていたりする。あの人は1日も休んでないんじゃないかなと思うぐらい、毎日練習しています」と証言する。

 佐藤は、「選手としてやっている以上は、僕の中でそれをしないと体が動かないので。それは、最後までやりきれたのかなと思います」と言う。

 そんな選手だからこそ2013、2014年の活躍があったのだろう。しかし逆にその姿勢が選手寿命を縮めた部分もあるのかもしれない。

 佐藤の引退セレモニーには、昨年まで守護神を務め、今年MLBのアリゾナ・ダイヤモンドバックスで活躍した平野佳寿がメッセージを寄せたが、その中で平野はこんな話をした。

「タツは一生懸命な部分がありすぎる。投げるなと言われても投げるし、今日は休んどけと言われても休まない。最後まで全力でいきすぎた分……。あと1、2年現役でできたんじゃないかなと僕は思っています」

【次ページ】 選手として可能性があるなら。

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