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イチローと丸の恩師が福岡へ帰還。
左打者育成の「新井宏昌塾」開校!
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKotaro Tajiri
posted2018/11/21 11:00
秋季キャンプで早速、若手を指導する新井宏昌打撃コーチ。
柴原氏が挙げるポイント2つ。
当時、8番打者ながら打率.333をマークした柴原洋氏は、「新井さんの指導で間違いなくホークスの打者は成長すると思います」と断言する。
柴原氏によれば、新井コーチの指導ポイントは「コースに逆らわずに打つ」「ミートポイントは体の前」の2点だという。
できるだけ引きつけるという打ち方もあるが、それは右打者向きだという。
当時のダイエーには金森栄治氏がスコアラーとして在籍(のちに打撃コーチ)し、引きつけて体の内側でボールを打つというアドバイスを行なっていた。各打者がそれぞれ自分に合うやり方を教わっていたのもダイエー強力打線誕生の理由の1つだった。
「ただ、とにかく左打者は間違いなく良くなりますよ」(柴原氏)
就任会見後さっそく指導。
11月14日、新井コーチは就任会見を終えるとスーツからジャージーに着替えて、さっそくグラウンドに出た。太陽のもとでずっと立ちっ放し。その元気と情熱に周りは驚いていた。
左打者で今季が7年目だった釜元豪に声を掛けていた。ファームではレギュラー格で一定の成績は残しているが、まだ一軍でヒットを打ったことはない。
打撃練習を終えた釜元に、村松有人外野守備走塁コーチが感想を求めると「難しいです」とつぶやいた。村松コーチは釜元を諭した。
「今は違和感があって気持ち悪いかもしれん。だけど、今までどおりやっても二軍で2割8分だろ? 気持ち悪くたって一軍で3割打った方が良いだろ。続けてみろよ」
村松コーチも'03年のメンバーだった。ずっと2割台中盤しか打てなかったのが、その年は.324と大飛躍した。
「足が速い方だったから上から叩きつける打撃ばっかりしていた。だけど新井さんから『水平に振れ、力強い打球を打て』と言われて取り組んだ結果です」
成功体験のある人が近くにいる環境も、今のホークスの若手にはプラスに働くかもしれない。