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イチローと丸の恩師が福岡へ帰還。
左打者育成の「新井宏昌塾」開校!
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKotaro Tajiri
posted2018/11/21 11:00
秋季キャンプで早速、若手を指導する新井宏昌打撃コーチ。
野茂経由で大リーガーも師事。
カープ退団後はメジャーリーグ中継の解説を中心に活動を行っていた。昨年9月にはサンディエゴ・パドレスのマイナーチームの指導のためにアメリカに渡ったこともある。
「球団アドバイザーを務めている野茂(英雄)さんから『右投げ左打ちの有望な若手がいるので、その選手をぜひ見てあげてほしい』とお願いをされて行ったんです」
その左打者の名を新井コーチは覚えていた。ハビエル・ゲラという。
今年23歳になったパナマ出身の選手だ。元々はレッドソックスにいたのだが、3年前にメジャー屈指の抑えであるクレイグ・キンブレルとの1対4の交換トレードでパドレスに移籍したのだ。つまり彼はプロスペクトとして見込まれた逸材だったのだ。
昨年までAA級が最高位だったが、今季はAAA級で122試合に出場してメジャーデビューも果たしている。打撃はまだ発展途上だが、それでもAAA級で13本塁打(前年A級で6本塁打のみ)をマークしている。
二軍の指導が大きな決め手。
「若い選手と接することが出来たのが非常に楽しかった。今回、ホークスからも若い選手の育成、そして覚醒をお願いされて、一軍ではなく二軍の打撃コーチとしての要請でした。自分も若返るような気持ちで、超一流の選手を育てていくことを、最後の仕事とするのもいいかなと思い、お引き受け致しました」
一軍ではなく、二軍選手の指導だったことは大きな決め手になったという。「この気持ちに気づかせてくれた野茂さんに感謝しなきゃ」と就任会見後には笑っていた。
ホークスでは'03年から2シーズン、'07年から2シーズンといずれも王貞治監督時代に一軍打撃コーチを歴任した。なかでも'03年の当時ダイエー打線は強烈だった。
開幕前に主砲の小久保裕紀が大怪我をして不安のままシーズンがスタートしたが、とにかく打ちまくった。シーズン20得点以上が4試合。26対7で勝ったかと思えば、5日後にも29対1の圧勝劇。年間チーム打率.297は現在もプロ野球記録だ。