フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
全治3週間負傷でも優勝の羽生結弦。
ザギトワも優勝で五輪覇者の貫禄。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2018/11/19 17:00
美しく、優雅に滑る羽生だが……その身体には歴戦の負担が重くのしかかっている。
3アクセルに、右足首がもたない!
だがさすがに力尽きたのか、後半の3アクセルで転倒。続いて予定していた次の3アクセルは1回転半になった。
もっとも得意なジャンプである3アクセルを失敗したのは、右足首がもうもたないという状態であったのに違いない。
無念そうな表情で演技を終えるとキス&クライに座った羽生は「Thank you, ジェーニャ(エフゲニーの愛称)さん」とマイクに向かって言った後、「Sorry, ジェーニャさん」と口にした。ベストな演技が出来なかったことを悔いているのだろう。
悔し涙をぐっとを抑えるように、下を向いた。
ファイナル、全日本の出場も厳しく。
「ドクターにも『今滑ったら悪化するよ』という話はされていた。それでも、この試合を滑ることを選択しました」と語った羽生。
フリー167.89、総合278.42と、2週間前のGPヘルシンキ大会よりも20ポイント近く低いスコアではあった。それでも2位の選手に30ポイントの差をつけて余裕で優勝をきめた。
GP2連勝でファイナル進出決定。
だが右足首は全治3週間と診断され、GPファイナルはおろか、全日本選手権も厳しい見通しになった。
「ちゃんと自分のしたいスケートができるかどうかを考えながら、今後を考えないといけない」と言いながらも、「引退はしないですよ」と、ひと言加えてファンを安心させたのは、いかにも羽生らしい。
度重なる負傷でゆるくなった羽生の足首は、少しの衝撃でも捻挫につながってしまうという。とりあえずはゆっくりと身体を休めて回復することに専念して欲しい。