サムライブルーの原材料BACK NUMBER
川崎優勝から1年。岡山一成が
ついに見つけた夢は選手兼監督。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byKazunari Okayama
posted2018/11/10 07:00
40歳ながら今もなお精力的な岡山一成(右)。DAZNでの解説でも熱い!
A級ライセンスを取得中。
1年を経て、彼には次の夢ができた。
自分らしい、自分が果たすべき夢。
それは選手兼監督、監督兼選手。ここにたどりついたのだ。
この決意は、今年の早い段階で聞いていた。だが途中で変わるかもしれないと思って、心に留めていた。
本気だった。
彼は2018年度のJFA認定A級コーチジェネラルライセンス取得を受講し、指導者になるべく本格的な勉強を始めた。合格すればJFLで指揮を執ることも可能になる。
彼流の勉強とは、とにかくJリーグの試合をよく見ること。
「5年間、Jリーグから離れていたんで、もう浦島太郎状態ですわ。ピンチとチャンスが瞬時に切り替わって、とにかくプレースピードが速いんです。見て、まずは目でJリーグの感覚をつかんでいくというか。J3、J2、J1と何十試合も見ていくうちに、もっとみたい、まだみたいって思ってくるんですよ」
解説の仕事もあるため、練習の視察に赴いたり、試合後に選手を取材したり。あまりに熱く聞きすぎて、若い選手からドン引きされたこともあったとか。
大学サッカー部の相談相手に。
指導者はチームにうまく落とし込むためのコミュニケーション力も求められる。6月には関東大学2部の関東学院大学サッカー部のアドバイザーに就任し、選手たちの“相談相手”となる役割を担うことになった。これも良い指導者になるための準備だ。
「解説もアドバイザーも、オファーをいただいたら、まずやってみようと思うんです。その経験が、いろんなところで活きてくると思うんでね。いろんな知識を得たり、いろんな人と触れ合ったりすることで、すごくいろんなことを学べている実感はあるので」
昔は指導者になる夢など、これっぽっちもなかった。
教えるって面白い。昨年、奈良で後輩選手にアドバイスを送ったことをきっかけに考えが変わった。
186cmの長身を誇る岡山と言えば、ストライカーとセンターバックの両方をこなしてきた空中戦のスペシャリストだ。彼は、ディフェンダーからフォワードにコンバートされた183cmの坂本修佑にヘディングのコツを授けたという。その効果もあって坂本は18ゴールを挙げてその年のJFL得点王に輝き、J3アスルクラロ沼津に移籍した。