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浦和で育ち、湘南で大人になった
岡本拓也の初戴冠と期限付きの終焉。
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/11/05 08:00
浦和時代にもプレーした埼玉スタジアムで、キャリア初タイトルを経験する。岡本拓也の胸には何が去来しただろう。
湘南で変わった立ち振る舞い。
一方で「プラチナ世代」の仲間は、すでにA代表として夢の大舞台に立っている。
「ロシア・ワールドカップでの(柴崎)岳くんのプレーは素晴らしかった。まだ全然遠い存在だけど、追いつけないとは思っていない。自分を信じて、日々努力していく」
言葉には力がこもっていた。ひと回り大きくなったのは、プレーだけではない。浦和時代はメディアの前で多くを語るタイプではなかったが、湘南でははっきりと自らの考えを口にするようになった。
「自分の考えを言語化するのは大事なこと。思っていることをチームメイトにも伝えないといけないし。それは取材でも同じ。人としても、成長しないといけない。いつまでもガキではダメなんで」
ふっと笑う横顔はたくましかった。ルヴァンカップ初制覇の余韻に浸る間もない。いまはJ1残留争いに集中している。
「ここからが大事。正直、レンタルの選手という意識はない。このチームを勝たせたい思いだけでプレーしている」
湘南の坂本紘司スポーツダイレクターも、その働きぶりを高く評価しており、完全移籍での獲得に動くことも示唆。今季から資金力のあるRIZAP(ライザップ)の傘下に入ったことで、移籍交渉も変わってくるという。浦和との複数年契約は最終年。もう「期限付き」が延長されることはない。
シーズン終了後、決断を下すときがくる。