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ロッテ根元俊一、35歳での引退。
その原点は花咲徳栄時代にあった。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2018/10/31 17:00
現役時代、ともにプレーした井口監督から労をねぎらわれる根元俊一。今後はコーチとしてチームに残る。
30歳以降の自分との向き合い方。
その後数年間、レギュラーに定着。2013年には背番号も2に変更となり、副選手会長にも就任した。年齢が30歳を超えても「ベテラン」と呼ばれることを嫌った。
13年目の今季、根元は開幕前にこんなことを話した。
「衰えとか全然感じないですし、むしろ今年が入団してから一番良いと感じているくらいです。もちろん本当に若い頃と比べたら走るスピードは分からないですけどね。体のコンディションは本当に良いし、年齢とか関係ないと思ってやっているので。そこでちゃんと練習をして、自分のやるべきことを分かってやっていれば、衰えも緩やかなスピードになるじゃないかなって思うんです。僕はまだまだこれからだって思っているし、自分で『ダメ』とか『限界だ』とか思わないようにしています」
昨年のオフには右肘を手術してその経過も良好だった。気持ちの部分で少しだけ若くなったのも多少影響していたのだろう。
「朝起きて肘を気にして、今日はどうなのかなって思っている。その時点で嫌な気持ちにもなるじゃないですか。五体満足の選手なんていないと思いますけど、そういうものを抱えて野球をするよりも、できればそれを取り除いてやってみたいなと。球団に相談したら『やっていいよ』ということだったし、そこも勿論大きかった。『やっていい』ということはまだまだ自分にもチャンスがあると思いましたし、その気持ちにもこたえたいと思ったので、本当に周りに支えられているなと感じましたし、感謝する部分は強いですよ」
ロッテ以外でプレーするイメージはない。
それでも2年連続Bクラスに低迷し、若返りを図るチームの方針には逆らえなかった。
9月中旬に球団との面談で現役生活にピリオドを打つことを決め、第二の人生を歩むことにした。
正直、トライアウトを受けて他球団でもう一花を咲かせても、筆者は思っていたが、根元は首を横に振ってこう言った。
「ロッテのユニフォーム以外でプレーするイメージも湧かないし、ここにいる仲間と僕は野球をやっていたいというのがずっと頭にあったので……。これも良いタイミングなのかなって思ったんですよね」
自分のわがままよりもチームへの愛、そして家族を守る気持ち。それを優先した根元らしい決断だと思った。