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根尾昂にトーチュウが狂喜乱舞し、
金本監督辞任にデイリーは激怒した。

posted2018/11/01 07:00

 
根尾昂にトーチュウが狂喜乱舞し、金本監督辞任にデイリーは激怒した。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

中日がくじ引きを制して交渉権を手にした根尾昂は、すでにしてただの選手以上の存在だ。

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プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

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Hideki Sugiyama

 ドラフト会議当日のスポーツ新聞は推理小説でもある。

 今年は横浜DeNAの1位指名予想が割れていた。根尾昂(大阪桐蔭)が2紙、上茶谷大河(東洋大)が2紙、吉田輝星(金足農)が1紙。正解は小園海斗(報徳学園)だった。

 楽天や阪神、広島も1位は決まっているように見えてまだ謎の部分が紙面に漂っていた。結果、広島は大方の予想通りに小園を指名したが、楽天と阪神は藤原恭大(大阪桐蔭)を指名。スポーツ新聞でこの予想を当てたのは1紙ずつ。ほかは根尾予想だった。

 根尾は6、7球団指名という予想が多かったが実際には「根尾4」「小園4」「藤原3」と割れた。おそらくだが、各球団も当日のスポーツ紙予想を見てギリギリまで話し合うのだろう。競合覚悟か、変更か。となるとドラフト当日のスポーツ紙は見物する側にも「一級の資料」ということになる。

 指名選手を公表する球団もいくつかあった。中日ドラゴンズは地元・岐阜出身の根尾指名をいち早く公表した。

 となるとドラフト当日の東京中日スポーツも熱い。

少年時代の記事がズラリ。

「根尾引く 与田の右」という1面見出しに「いざ初仕事」「剛腕に思い込める」。さらに想いがはみ出そうになっていたのは3面だ。

「どこよりも早く本紙は飛騨の怪童に注目して来ました」という大々的な見出し。その横には少年時代の根尾の記事をずらっと並べた。

「スーパー小学生発見! 根尾昂 驚異の身体能力! 最速120キロ超&ソフト投げ84メートル」(2012年10月31日付)

「根尾 中日ジュニア 魔の5回 最速120キロスタンドどよめき快速球披露も」(2012年12月27日付)

「飛騨の怪童 根尾圧巻 救援登板1イニング3者3K」(2013年11月3日付)

「根尾世界一 中日本 決勝コールド勝ち」(2015年8月12日付)

 トーチュウと根尾のこれまでの歩み、思い出アルバムである。

 そして根尾のドラフト前日会見の言葉も大きく載せた。

「小学生の時にドラゴンズジュニアに選んでもらいました。最初に指名を公言していただいたときは『また中日のユニホームを着るチャンスがあるのかな』と思いました」

 紙面からほとばしるのは「絶対に根尾を他球団には渡さない」「正義は我にあり」というトーチュウの意気込みである。鼻息交じりの声が紙面から聞こえてきそう。

 果たして、根尾の当たりくじは中日が引いた。東京中日スポーツの執念が実った瞬間であった。

 あの光景を見て私は驚いていた。感心したと言ったほうがよいだろうか。というのも約1カ月前のトーチュウのあるコラムを思い出したからだ。

【次ページ】 岩瀬、荒木引退発表の日に。

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