炎の一筆入魂BACK NUMBER
カープは苦手ホークスを倒せるか。
一軍未対戦の助っ人が“キラー”に?
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byNanae Suzuki
posted2018/10/27 08:00
フランスアは今季47試合に登板。8月はプロ野球タイ記録の月間18試合に登板。シリーズでも大車輪だ。
フランスアは柳田封じなるか。
1人はシーズン終盤にセットアッパーに上りつめたヘロニモ・フランスアだ。ドミニカカープアカデミー出身で、昨年の今ごろはまだ練習生。今年育成契約を経て、支配下選手登録を交わし、今では中継ぎで欠かせない存在となっている。
初めて一軍に昇格したのは、交流戦期間中だったが、ソフトバンクとの対戦はなし。二軍で対戦はしているものの、一軍のソフトバンク打線を知らない。
「デスパイネと柳田が2枚看板だと思う。そういう打者を抑えることが(投手の)醍醐味だと思っている」
強気な発言は今季47試合登板で防御率1.66を残した自信だけではない。恐れを知らぬ勢いもあるだろう。
ソフトバンクには柳田悠岐だけでなく、上林誠和や中村晃など得点源となる左打者が多くいる。それだけに、8回の1イニングというセットアッパーの役割にこだわらず、柔軟な起用法も一手かもしれない。
本人は「準備はしっかりしておきたい」と腕をまくっている。
右打者に強い長身ヘルヴェグ。
左のフランスアに対し、右はジョニー・ヘルウェグがいる。
2m超の長身を深く沈めて投げる横手投げで、左足を大きくインステップするため右打者は球の出どころが見えづらい。しかも内角へ食い込むツーシームは150kmを超える。初見で対応するのは難しい。
今季一軍で7試合に登板し、投球回の8を上回る10個の三振を奪っている。その分6四死球と制球面には不安を残す。ただ、注目点はいずれでもない。対右打者にある。左打者の被打率.231に対し、右打者は.071に抑えている。打者15人に、被安打は1本のみ。与えた四球も0(死球1)だった。
日本シリーズ3日前に登板したシート打撃では前日2本塁打のアレハンドロ・メヒアをツーシームで内角をえぐりバットをへし折った。対戦したメヒアは「速い。けど、難しいのは動き。ジョニーのような投手と対戦したことはない」と驚いていた。
ソフトバンクにもデスパイネや内川聖一ら右の強打者もいる。勝機をバトンのようにつなぐ短期決戦でヘルウェグのような一芸に秀でた投手も価値は高い。