炎の一筆入魂BACK NUMBER
カープは苦手ホークスを倒せるか。
一軍未対戦の助っ人が“キラー”に?
posted2018/10/27 08:00
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
Nanae Suzuki
広島の4番・鈴木誠也がネクストバッターズサークルに入ると、すぐにマスコットバットや滑り止めのスプレーを並べる。素振りをするのはそれからだ。
「野球の神様が見ていたら、打たせてくれるかもしれない」という願掛けの思いが込められているという。
勝負の世界では、ときにはそういった目に見えない力が働くこともある。セ・パの代表球団が日本一を決める日本シリーズという短期決戦でも、十分に起こりうる。
34年ぶりの日本一を目指す広島にとっては、日本シリーズ初戦を本拠地マツダスタジアムで戦えることは広島にとっては大きい。
そこには360度を真っ赤に埋め尽くすファンの存在がある。大声援で後押ししてくれる力は絶大だ。CSファイナルステージで3連勝。レギュラーシーズンでも45勝25敗2分け、勝率.625の勝率が物語る。
当時の日本シリーズは3戦目の日本ハムの本拠地初戦で敗れたことで流れが変わったものの、本拠地では連勝スタートを飾った。各球場の初戦は重要。特に第1戦目は重要度が増す。難敵ソフトバンクを倒すには、勢いという目に見えない力も大事になってくる。本拠地のファンの大声援を追い風としたい思いはあるだろう。
日本一へ試される中継ぎの力。
ただ、マイナスに働く“見えない力”もある。それはソフトバンクに対する、苦手意識。
今年の交流戦を含めて2年連続で負け越しており、過去10年は10勝23敗3分けと大きく差をつけられている。パ・リーグを制した西武も十分に強力だが、相手がソフトバンクに決まり警戒心を高めた関係者も少なくなかった。
「見えない力」に打ち勝つためには“見えていない鈍感力”で対抗したい。
短期決戦ではやはり投手力が大きなウエートを占める。山賊打線と呼ばれた12球団屈指の西武がソフトバンクに屈したのも、投手力の差とも言える。
CSは先発陣の踏ん張りで勝ち上がった広島だが、日本一への道のりは中継ぎ陣の力なくしてたどり着けないだろう。
そういった意味でも、まだソフトバンク打線を知らない左右の外国人投手の存在が注目される。