フランス・フットボール通信BACK NUMBER
女子サッカープロリーグは発展中。
米国、欧米の二極化も実は低年俸。
text by
フランク・シモンFrank Simon
photograph byFranck Faugere
posted2018/10/23 07:00
フランスの女子プロサッカーリーグは、世界最高の年俸を選手に払っている。
健全な女子プロリーグがある国か?
ヨーロッパ諸国における新たなプロリーグの創設は、これまでの勢力図を一新させた。
フランスはじめドイツ、イングランド、スペイン、イタリア……。スポーツ面でも経済面でもヨーロッパは、選手たちにより良い条件でプレーする機会を与えられるようになったのだった。
これにはチャンピオンズリーグが果たした役割も大きかった。
2001年に女子UEFAカップとして設立された大会(チャンピオンズリーグとなったのは2009-10年シーズンから)は、回を重ねるごとに知名度と人気を得て、タイトルの価値は女子サッカーの枠を超えた重みを持つようになった。
ドイツ勢が圧倒的な強さを誇る(17回中9回優勝)が、最多優勝(5回)クラブは現在3連覇中のフランスのオリンピック・リヨンである。
リヨンやパリ・サンジェルマン(PSG/チャンピオンズリーグ決勝2度進出)の活躍に見られるように、フランスの躍進は目覚ましい。
今季開幕前に中国の選手であるワン・シャン(Wang Shuang)がPSGに、アメリカ代表GKのキャシー・マーフィーがモンペリエへの移籍を果たした。リーグ全体では過去最多の世界32カ国から、65人の選手がフランスに集まっている。
名門クラブの女子部門として。
フランスばかりではない。イングランドのFA WSL、スペインの女子プリメーラディビジョン、ドイツのフラウエン・ブンデスリーガ……。
これらに共通するのは、男子の名門クラブ、ビッグクラブが女子チームを持っていることである。
バルセロナやマンチェスター・シティ、ヴォルフスブルク、バイエルン、フィオレンティーナ、アーセナル、チェルシー……最高の練習環境と仕事環境をクラブが提供してくれることをそれは意味している。
アメリカはそうではない。
2013年に始まったNWSLで、男子のプロクラブの女子部門であるところはひとつもない。またウエスタン・ニューヨーク・フラッシュが買収されて本拠を移転し、ノースカロライナ・カレッジと名前を変えたように、経済基盤が安定しているともいい難い。
現在は9チームで構成されているが、過去にも財政難から活動を停止したクラブは幾つもある。そればかりか、そのリーグ自体がWUSA(2001~03)とWPS(2007~12)が経済的な理由から消滅したのちに新たに立ち上げられたものだった。