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つなぐも崩せずイングランドに敗北。
スペインはW杯惨敗から停滞したまま。
posted2018/10/21 10:00
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph by
Uniphoto press
スペイン代表が、ふたたび世界の頂点に返り咲く──。
それはいったい、いつになるのだろう。いや、もしかしたら、栄光の時代はもう二度と訪れないのかもしれない。
10月15日に行なわれたUEFAネーションズリーグのリーグAグループ4第3節、スペイン代表はホームでイングランド代表に2-3で敗れた。
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ボールポゼッション率は70%、774本のパスを交換し、25本ものシュートを放ちながら、それでも敗れた。実に1000本を超えるパス本数を記録したにもかかわらず、PK戦の末に開催国に屈したロシアW杯から、結局のところ彼らは何も変わっていないのだと、そう印象付けるような敗戦だった。
その3日前、ウェールズ代表との親善試合では、同じく70%以上のポゼッション率でゲームを支配し、4-1の勝利を収めている。だが、ギャレス・ベイルが故障で不在だったウェールズには勝てても、よりクオリティーの高いタレントを揃え、より洗練された組織を誇るW杯4位の強豪国が相手では、そう簡単にはいかないということだ。
自慢の高いポゼッション率が勝利という結果とイコールで結ばれるのは、もはや格下が相手の場合に限られるのかもしれない。
結果だけ見れば3連勝の船出。
ベスト16で散ったロシアW杯後、代表監督に就任したルイス・エンリケの下、その初陣となったUEFAネーションズリーグの第1節では、敵地でイングランドを2-1で撃破している。続く第2節はW杯準優勝国のクロアチアに6-0の圧勝だ。
しかし、イングランド戦の勝利は紙一重で内容的には互角だったし──アディショナルタイムにイングランドの同点ゴールがファウルで取り消される幸運もあった──そして9月に戦ったクロアチアは、大黒柱のルカ・モドリッチを筆頭に、明らかに燃え尽き症候群に陥っていた。
ウェールズ戦も含めて3連勝と、結果だけを見れば申し分のない船出となったL・エンリケ新体制だが、その実力が本物かどうか見極めるのは、やはり今回のホームでのイングランド戦だったはずだ。