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1.4東京ドームIWGP戦への大論争!
ケニー・オメガと棚橋弘至の断絶。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2018/10/14 11:00
3年前の因縁再び……体調万全で臨むはずの棚橋弘至に対して、ケニー・オメガはどう応えるか?
「自分のプロレスこそ品があり、優美なもの」
オメガは指摘された品のなさも否定した。
「新日本プロレスには自分のプロレスについての美しさを発揮する場所を提供してくれたことに感謝している。でも、品がない、という発言に関しては、少しどうかと思うので言わせてもらう。
不思議なことに、その品のないプロレスを見て、大変困難な状況を克服することができたという人がたくさんいる。
たとえば、うつ病で悩む人、アルコール中毒で苦しんだ人、そういった人たちが自分のプロレスを見て、辛い状況を克服できた。インスピレーションを受けたと言ってくれる。
もし、棚橋の言葉のように、自分のプロレスが品も何もないのであれば、そのような人は現れないはずだ。
自分のやっているプロレスこそ、品があり、そして最高に優美なものだと信じている。その優美な方法で完膚なきまで棚橋を倒し、そして辱めたいと思う」
オメガは話し出すと止まらない。3メートル離れて座っていた棚橋がその演説を浮かない顔で聞いている。オメガは続ける。
「私たちは生身の人間です。そして、オレはファンの人たちと自分自身がつながれる真のストーリーを語り続けている。
逆に棚橋はどうだ? 彼はヒーローのような顔をして、真実を偽っている。裏ではまったくヒーローといった姿ではなく、ポンコツだ。
自分自身も完璧な人間ではない。だが、ケニー・オメガとして、本名タイソン・スミスとして、自分自身を試合ごとに披露し続けている。そして、ファンのみんなとつながっている」
「Why?」が多いオメガのプロレス。
棚橋は10月8日の3WAYのIWGP戦にも苦言を呈した。怒っているのが分かった。
「(10月8日のメインの)試合終わってから、ああ、そういえばこれ、IWGPのタイトルマッチだったね、という印象かな。
IWGPの権威、IWGPの扱い、IWGPのベルトは、アクセサリーじゃないから。
それに、ずっとモヤモヤしていたことがあって、あの試合に関して言えば、飯伏もCodyも仲間。 握手で始まっているのに、テーブルとか使う必要があるのかな、と。試合の中で、いくつものWhy? なぜ? なんで仲間同士でそんなものを使う必要があるのかなって。
オレはプロレスっていうものを広めたいと思ってずっとやって来て、それは初めてプロレスを見た人が疑問に思うところがあってはいけない。ケニーは世界的に評価されているし、どんどんプロレスを好きになってくれる人も増えているけれど、戦い方が初めて見る人には理解できない部分が多い。Why? が多いっていうのが、ボクの意見です。
ま、コンディションから言えば、ケニーとは雲泥の差があるのはわかっていますけれども、それでもオレはなんとかします」