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1.4東京ドームIWGP戦への大論争!
ケニー・オメガと棚橋弘至の断絶。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2018/10/14 11:00
3年前の因縁再び……体調万全で臨むはずの棚橋弘至に対して、ケニー・オメガはどう応えるか?
本当は3年前に東京Dで戦うはずだった。
本来2人は、3年前に東京ドームで戦うはずだった。だから、今さら……という感覚を持つオメガのことはよく理解できる。あの時は、棚橋のケガのせいで、その重要な一戦が吹っ飛んでしまったのだから。
「2016年、オレたち2人は歴史を作ろうとしていた。ところが、残念ながらオマエはケガをしてしまった。
人間というのはモロイもので、ケガというのはつきものだ。でも、それから数年経って、驚くべきことに、今年に入って、オマエはまた東京ドームのメインイベントに立つという、その役割を担うためにここに戻って来た」(オメガ)
1度だけ棚橋とオメガはインターコンチネンタル王座をかけて戦ったことがある。2016年2月だった。
棚橋は回想した。
「2016年、長岡のインターコンチでボクが負けて、そこからケニーがどんどん速度をあげて一気にトップに駆け上がっていった。もし時間が戻せるなら、あのインターコンチの試合で止めてればっていう思いはあります。
あの時のケニーと、いまのケニーと、どっちがオレ好みのプロレスラーかって言ったら、あの時のケニーの方がオレは良かったなと思います」
オメガもまた回想した。
「その当時の自分としては誇れる試合ができたと思う。ただ、それはその時点でのことだ。しっかりと自分に放たれた弾丸を避けることができていたか、どのような試合ができていたか。自分でふり返ってみたが、それから2年経って自分は進化を遂げた。
プロレスというものも時とともに進化した。だが、その間に棚橋は取り残された。彼にチャンスをあげたのに、彼はケガをしてしまった。
そしてまた、まったく同じ状況で対戦が決まった。
互いに痛んでいる、でも最高の試合ができるか? と聞かれれば、それはもちろんするが、それはプロレスをどういうふうに見るかだろう。それぞれの視点によっても変わってくるだろう。
東京ドームのメインイベントは最高の試合になる。そんなことはわかっている。そして、棚橋本人がそのキャリアの中で、IWGPヘビー級のベルトを取る最後のチャンスだ、ということもわかっているはずだ。
棚橋はそのエネルギーやここまでに払ってきた犠牲をすべてリングに捧げるのだろうが、オレは棚橋のすべてを吸い尽くしてやろうと思っている。そして、ファンはその最後の姿を目の当たりにし、永遠に記憶することになるだろう」