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ローマ新スタジアム建築計画で汚職。
2000年超の魔都ゆえの厄介さとは。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2018/10/03 11:00

ローマ新スタジアム建築計画で汚職。2000年超の魔都ゆえの厄介さとは。<Number Web> photograph by AFLO

ローマにとって長年の聖地オリンピコ。本拠地移転が果たされるはずだったが、今季もまた使用されている。

会長の仰天プランに市長は呆れ顔。

 デラウレンティス会長は今年の7月末、突拍子もない行動に出た。

 再興した南部の古豪バーリを買収し、「4部から最短時間でセリエAを目指す」とぶち上げたかと思うと、その後国内有数のスタジアムであるバーリの本拠地「サン・ニコラ」で「ナポリのCLホームゲームを開催する。(ナポリからの移動用)高速バスは私が1000台手配する」と豪語したのだ。

 まさかの離脱宣言に仰天したナポリのデマジストリス市長は「馬鹿げている。実行不可能だ。思いつきにしても悪質すぎる」と反撃。さらに、市当局が「スタジアム使用料として入場料収入の10%を払え」と要求するに至った。

 前述の240万ユーロを払ってもらっていないクラブ側としては、使用料を払う気などさらさらない。結局、CLのホームゲームはこれまで通り「サン・パオロ」で行われているものの、衝突の火種はくすぶり続ける。

 ナポリにも新スタジアム建設計画はあるが、未だ候補地の区長が土地選定をしている段階で、実際に立案となれば、輸送や保健施設といったインフラ整備面で複数の自治体の協力は不可避だ。

 つまり、デラウレンティス会長とデマジストリス市長が和解しない限り、ナポリの新スタジアム構想など絵に描いた餅に過ぎない。

ユーベも建設までに長い年月が。

 ガンバ大阪のホームスタジアムとして、2015年秋に完成した「市立吹田サッカースタジアム」は、官民一体となった協力体制の下、建設資金140億円の大半を募金で賄ったという。

 イタリアでそんな話をしても誰も信じてくれないだろう。ここは寄付や募金といった善意で何とかなってしまう日本とはちがう。セリエAは殺伐としたゼニ勘定の世界だ。

 イタリアで自前スタジアムを持つことは夢物語なのか。

 ほぼ唯一の成功例のように考えられているのは、絶対王者ユベントスの「アリアンツ・スタジアム」だ。

 しかし、実は彼らも新スタジアム建設実現までには長い年月を費やした。

 こけら落としは2011年、しかしトリノ市側と建設用地獲得について交渉を始めたのはそこから13年前、'98年に遡る。ユーベは4年かかって、旧「デッレ・アルピ」跡地を99年間独占使用する長期契約締結に漕ぎつけた。

 だがその後、'06年に発覚したカルチョ・スキャンダルによって2部落ちしたこともあり、建設計画は一時凍結。クラブの役員会で総工費1億5500万ユーロの一大事業にゴーサインが出されたのは、'08年春のことだった。

 自前スタジアムを得てからのユーベの歩みには触れないが、彼らとて自分たちのホームを簡単に手に入れたわけではないのだ。

【次ページ】 「完成は早くて10年後だろう」

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