セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
ローマ新スタジアム建築計画で汚職。
2000年超の魔都ゆえの厄介さとは。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2018/10/03 11:00
ローマにとって長年の聖地オリンピコ。本拠地移転が果たされるはずだったが、今季もまた使用されている。
「完成は早くて10年後だろう」
永遠の都に自分たちの巨大スタジアムを作る。
今から6年前、地元の建設会社社長とボストンから来た富豪の夢が一致した。
進捗の鈍さに業を煮やした若い社長は袖の下を使って、手錠をかけられた。
だが、イタリアの裁判ではありがちなのだが、仮に主犯とされるパルナージとランザローネの両容疑者に実質無罪の判決が出たら、この疑惑は誰も得をせず、スタジアム建設に致命的な遅れを与えただけ、ということになる。パルナージ社長は本当に悪人なのか、と考えずにはいられない。
南イタリアで刑事裁判官をしているユベンティーノの友人に意見を求めてみたら、「ローマのスタジアム? どんなに上手くいっても、完成するのは早くて10年後だろうな」という乾いた答えが返ってきた。
ASローマは、市当局へ「提出済みの建設計画の実効性は失なわれていないはず。年末12月30日までに正式許可を出して欲しい」と請求したという。堪忍袋の緒が切れかけているパロッタ会長は、その日を待って何らかのアクションを起こすだろう。
「新スタジアムを死ぬまでに拝みたいもんだ」
ロマニスタたちの嘆きはあながち冗談に聞こえない。仕事前にコーヒーを飲むくらいの遅れは何てことないように思えてくる。