プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人・畠世周にもっと修羅場を!
CS3位争いの鍵となる24歳右腕。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2018/09/28 15:00
三軍からスタートした今季。じっくりトレーニングを重ねて最速156キロにまで達した速球が生きている畠世周。
9月に復帰……その途端に活躍!
9月11日に今季初めて一軍昇格を果たすと、起用されたのがクローザー山口俊に繋げるセットアッパー役だ。
そうして登録翌日の12日のヤクルト戦では8回から1イニングを投げて初ホールドをマーク。
9月27日現在すべて中継ぎで6試合に登板して1勝2ホールドという数字だ。
9月23日の阪神戦では7回2死一、三塁のピンチでマウンドに上がると、回またぎの1回3分の1を投げて無安打3奪三振。
翌24日の同カードでも1回を1安打2奪三振と完璧な内容でホールドを挙げた。
高橋監督が期待した山口と畠。
「初めてのポジションだし慣れない部分はあるけど、任せられたところを0に抑えて次につなげたい」
畠はこう自分の役割を説明する。
「とにかく後ろから作っていかないとダメだから。まず後ろを固めたい」
これは開幕前の斎藤雅樹投手総合コーチの話だ。
このときはテイラー・ヤングマン投手の扱いを巡る話だった。だから登録するのはセットアッパーのスコット・マシソン投手とクローザーのアルキメデス・カミネロ投手になるという結論だったのだ。しかし、最優先で作った8、9回の方程式が前半戦から崩れた。それが今季の巨人の迷走の最大の原因だったのはご承知の通りである。
カミネロもマシソンも故障で戦線離脱し、代役には澤村拓一投手やベテランの上原浩治投手、また育成上がりのドミニカン、サムエル・アダメス投手ら次々と投入してきたが、どの投手も機能しなかった。
そうしてこの熾烈なAクラス争いを抜け出す決め手として高橋監督が指名したのがストッパー経験のある山口とセットアッパーの畠だったわけだ。