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巨人・畠世周にもっと修羅場を!
CS3位争いの鍵となる24歳右腕。
posted2018/09/28 15:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Kyodo News
いまを見て、未来を思う。
セ・リーグのペナントレースは広島の3連覇が決まり、残るは熾烈を極めるAクラス争いへと焦点は絞られてきた。
2位のヤクルトが一歩抜け出し、問題は3位を争う4球団。激しい足の引っ張り合いというか、低レベルの泥仕合というか。いずれにしても3位に滑り込むチームは勝率5割に届かないのはほぼ確実で、それでもクライマックスシリーズ(CS)への出場権をかけて残り試合に死力を尽くすことになるわけだ。
もちろん巨人も2年ぶりのCS出場は高橋由伸監督続投の絶対条件とも言われ、後がない戦いを繰り広げている。
そのいま目の前の戦いで光を見出そうとするとき、1人の投手がクローズアップされることになる。
2年目の畠世周投手である。
キャンプ前の期待を裏切る三軍スタート。
ドラフト指名後に右肘の手術をして、昨年も一軍昇格は7月になってから。それでも150キロを超えるストレートと落差の大きいスプリットを武器に、先発ローテーションに入って1年目は6勝4敗という成績を残した。
今季のキャンプ前には高橋監督が菅野智之投手と田口麗斗投手にこの畠を加えた3人で「貯金20」を掲げるほどに期待された右腕だったが、あっさりキャンプで指揮官の期待を裏切った。
キャンプ中に腰を痛めて三軍スタート。
まったくピッチングができずに、ようやく二軍に合流したのが9月4日と大幅に出遅れてしまったのである。
シーズン前の監督構想からすれば、ある意味、今年の巨人の惨状の原因を作った1人であることは間違いない。
ただ、である。
いまを見ると、畠は確実にこの熾烈な3位争いのカギを握る選手の1人となっている。これもまた、間違いないことなのである。