プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人・畠世周にもっと修羅場を!
CS3位争いの鍵となる24歳右腕。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2018/09/28 15:00
三軍からスタートした今季。じっくりトレーニングを重ねて最速156キロにまで達した速球が生きている畠世周。
全盛期の上原同様、四球が少なく三振がとれる。
もちろん本人が語るように、近大時代から中継ぎ経験はほとんどない。それでもリリーフで投げるたびに安定感が出てきて、回またぎもできるのがチームには心強い。
阪神戦のように終盤の勝負どころを任せられる投手がようやく現れた。そうなればきちっとゲームプランが立てられるようになり、そこに軸ができたことがシーズン終盤のデッドヒートの大きな武器になる。
今季はまだデータ的に数字が少ないが、それでも奪三振率25.9%は山口の22.2%や澤村の22.7%を上回る。与四球率の3.7%も上原の3.6%に次ぎ菅野の4.6%をしのぐ。その結果、奪三振割合と与四球割合の差を示すK-BB率は22.2%でチームトップの数字を稼いでいるのだ。
わかりやすく言えば全盛期の上原と同じで、四球が少なくて三振がとれる。
それが畠の最大の武器なのである。
クローザー適性という点では与四球率9.0%と四球で崩れる山口より、むしろ畠の方がより高いと言えるかもしれない。
あとは経験だが、楽天の松井裕樹投手が成功したように、勢いで抑え込めるクローザーこそ、三振をとれる若い投手には向いているといえるポジションという見方もできる。
来季のクローザーは畠しかいない!
そこで未来を見る。
今年の戦いはどうなるかはわからない。
もちろん3位に食い込み、CSから日本シリーズと駒を進めるためには、畠のフル回転が絶対条件なのはいうまでもない。
しかしさらに、その先の話もある。
カミネロの退団は必至で、来季の巨人は1からクローザーを作っていかなければならないのだ。
もし、後ろに重きを置く投手編成を考えるなら、答えは見えたはずだ。
来季のクローザーは畠しかいない、と思う。