フランス・フットボール通信BACK NUMBER
スポーツを通じて女性に真の自由を!
パキスタンの女子サッカー最前線。
text by
ポリーヌ・オマンビイクPauline Omam Biyik
photograph byDiya FC
posted2018/09/05 10:30
写真中央が、パキスタンにおける女子サッカーのパイオニアであるサディア・シェイク。サッカーを通じて社会の変革を図っている。
先鋭的過ぎて潰された夢も……。
「ピッチは女性に日常の息苦しさを忘れてリラックスできる場を与えてくれます」とサディアは言う。
彼女はカラチに同国初の女性のためのサッカーアカデミーである「ディアFC」を、2003年に設立した。
「サッカーをすることで女性はより強くなれるし自信も得られる。意志の表明もできる。
サッカーは単なるスポーツではなく女性解放のための手段であり、若い女の子たちに社会の中でチャンスを与えるひとつの方法でもある。
私は彼女たちが弱い存在、マージナルな存在と見なされるのではなく、男性と同等に尊重されることを望みます」
だが彼女の多くの活動は発言力を持つ人々が弱体化したことで、国家と宗教というふたつの勢力間の緊張関係が高まり、(男子も同様だが)2014年に停止を余儀なくされてしまった。
「何も禁止されているわけではないのですが……」とサディアは言うが、実際には彼女が画策するアカデミーへの投資も、政治的・経済的サポートも難しくなったのが実情である。
夢を邪魔されても、なお進む意志を。
開設当初から様々な支援を受けていたアカデミーは、評判が高まるにつれて支持するものも多くなっていった。
「あまり先に進み過ぎることを彼ら(体制側の人々)は懸念したのだと思います」とサディアは後悔する。
今日、援助が足りていないのは明白だが、後戻りする気は彼女にはまったくない。4つの職務を掛け持ちしながらほとんどひとりで資金が限られたクラブの活動を維持し続け、10数チームを集めた4人制の大会を年に6回開催し続けている。
そこにはクリスティアーノ・ロナウドやリオネル・メッシのファンだという、6歳から27歳まで40人以上の女性が参加している。