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J3降格危機の新潟に現れた救世主。
梶山陽平はピッチ内外で“つなぐ”。
text by
塚越始Hajime Tsukakoshi
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/08/29 11:00
新潟が梶山陽平を獲得した理由は「流れを変えるため」だという。だとすれば、彼以上の適任はいないかもしれない。
職人から親方的な存在に?
ピッチ上ではポジションや年齢もあり、味方に厳しく要求し、大きなジェスチャーで指示を出す。吊り上がった鋭い眉毛には少しコワモテな印象も受ける。「少し大げさにしないと、伝わらないから」と、ギリシャのパナシナイコス、大分トリニータへの期限付き移籍を経験して、今この瞬間をさらに重視するようになった。
だが、ピッチ外では怒ったところを見たことがない。感情をあまり表情に出さない(出せない?)。多くを語らぬ警察官の父親の背中を見て育ち、挨拶や礼儀を欠かさないことだけは植え付けられた。年下の選手が大半になってきたこともあり、職人から親方的な存在にもなりつつあるのだろうか。
今は新潟での半年間のレンタル期間で、J2残留というノルマ達成に全力を注ぐ。監督代行を務めていた片渕浩一郎コーチの監督就任も決定した。求められる役割は、下手をすればバラバラになりかねないチームをつなぐこと。それは、梶山が最も得意としていることだ。
大宮戦に続くアビスパ福岡戦ではベンチ外となっており、膝の状態が気になるところだ。立ち塞がる困難には全力で立ち向かうことでしか道は切り開けない。梶山の生きざま。それは新潟の未来に通じている。