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変革期で揺れるフランクフルト。
こういう時こそ長谷部誠が必要だ!
text by
本田千尋Chihiro Honda
photograph byAFLO
posted2018/08/28 11:00
多くの選手が流出し、監督が代わり、チームが変革期を迎えているからこそ……長谷部誠という男の存在が重要になってくる。
「我慢する時間は絶対出てくる」
もちろん敗北を何の躊躇いもなく受け入れ、放置することはできない。
大敗の後で、長谷部は「こういうタイトルが懸かったゲームで、こういう負け方をしたというのは、もちろん気持ち良くはないですけど」と、選手としてのプライドを覗かせた。個人としても、チームとしても、修正すべき点は多い。
だが、やはり「時間」は必要なのだ。
コバチ前監督も、ドイツカップの優勝まで2年以上の月日を費やした。
「監督も変わって、メンバーも変わって、今シーズンはヨーロッパリーグもあるので、そうやって考えると試合もたくさんあるので、とにかく、我慢する時間っていうのも絶対出てくると思う。
こういう時にね、自分の経験っていうのをチームに注入していきたいなと思います」
チームを攻守両面で支えた男。
'14年の7月に1.FCニュルンベルクから移籍加入した長谷部。フランクフルトで早5シーズン目を迎える。'16年の3月からチームを率いたニコ・コバチ監督の下では、リベロとしての適性を見出され、選手としての新しい可能性が広がった。
最後尾のポジションで責任を担い、チームを攻守両面において支えた。
昨季中の9月、『アルゲマイネ・ツァイトゥング』電子版は「アイントラハト・フランクフルト:誰がマコト・ハセベの代わりを務めることができるのか」と題する記事を掲載。
8月31日に行われたロシアW杯アジア最終予選のオーストラリア戦を終えて、日本代表を負傷離脱し、フランクフルトに合流した長谷部だったが、3月に手術した右膝の状態は思わしくなく、その翌週のボルシアMG戦は欠場することになった。
記事中では長谷部の欠場を「アイントラハトにとって重大な打撃」と記していた。
また、長谷部自身については「鍵となる選手」「支柱」と形容。そして「彼は3バックにおける役割を並外れてこなすことができる、それについて疑問は全くない」というコバチ監督のコメントを引用した。
フランクフルトでの4シーズン目を迎えて、長谷部が替えの利かない存在となっていることは、ドイツメディアだけでなく、誰にとっても明らかだった。