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変革期で揺れるフランクフルト。
こういう時こそ長谷部誠が必要だ!
text by
本田千尋Chihiro Honda
photograph byAFLO
posted2018/08/28 11:00
多くの選手が流出し、監督が代わり、チームが変革期を迎えているからこそ……長谷部誠という男の存在が重要になってくる。
長谷部が過去最も必要とされる時期に。
8月18日に行われたドイツカップの1回戦で、フランクフルトは、SSVウルム1846に1-2で敗れた。4部所属チーム相手の不覚。翌日、『フランクフルター・アルゲマイネ』電子版は「カップ戦の王者は4部クラブ相手に恥をさらした」と辛辣に報じた。スーパーカップに続き、フランクフルトからは、昨季のような安定性や組織としての秩序、個々の選手のプレーの迫力が欠けていた。
まだチームは再建中。
「我慢する時間」は、しばらく続くだろう。
しかし「時間」が必要とは言え、あまり悠長にもしていられない。ヨーロッパリーグが始まり、中途半端なチーム状態で過密日程に突入すれば、フランクフルトは本当に「崩壊」してしまう可能性がある。昨季の1.FCケルンが、地獄を見たように。
そして8月25日に行われたブンデスリーガの開幕戦。フランクフルトは、アウェイでSCフライブルクに2-0で勝利する。長谷部は体調不良により欠場している。スコアだけを見れば完勝だったが、ヒュッター監督が選んだ4バックは、まだ安定性を欠いていた。ところどころでパスは噛み合わず、不用意にボールを失った。ピッチの上に、“統率者”がいなかったからなのは明らかだった。
22本ものシュートを浴びながら無傷で済んだのは、敵の攻撃陣がフィニッシュの精度を欠いたからだ。「ヨーロッパの舞台」で待ち受ける難敵は、こんなにも多くの決定機を見逃してはくれないだろう。
最悪の事態を招かないためにも、長谷部が培ってきた「経験」と「責任」、何より“情熱”が果たす「役割」は、フランクフルトに加入して以来、最も大きなものとなるのかもしれない。