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長谷部フランクフルトがカップ戦で
“ジャイキリ”を食らい漂う暗雲。
posted2018/08/24 11:30
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph by
Getty Images
ドイツにも遂にサッカーシーズンが到来しました。先のロシアW杯で史上初のグループリーグ敗退に終わり、国内がシーンと静まり返ったのも過去の話。元来サッカー熱が高く、地域とサッカークラブの結びつきが密接なドイツでは、むしろ「世界規模」の大会よりも日常に寄り添う「クラブ単位」の大会の方が人々の耳目を集めます。
2018-19シーズンのブンデスリーガ1部は8月末に開幕です。イングランド、スペイン、イタリアなどに比べると今季はスタートが遅い。一方、2部は8月3日のハンブルガーSV対キール戦で幕を開け(ハンブルク、衝撃の大敗!)、続いてドイツのカップ戦であるDFBポカールも始まりました。
僕の街のアイントラハト・フランクフルトは前年度のポカール・チャンピオンで、今季1回戦の相手はレギオナルリーガ(4部)のSSVウルム1846でした。
ポカールの1、2回戦はプロとアマチュアでポッド分けされ、必ずアマチュアクラブのホームでプロとのゲームが開催される仕組みとなっています。下部クラブにホーム開催権を与えることで収益を生み、クラブ強化を促進させ、地域を活性化する意図があるのです。
クラブは好きだが信用していない?
フランクフルトからウルムまでの移動は少々面倒なので、僕は翌日開催のカールスルーエ(3部)対ハノーファーの一戦を取材する予定でした。
フランクフルトのゲームは、アパートメントから徒歩5分の行きつけの飲み屋で観戦。顔見知りのおばちゃん店主がトンと置いてくれたピルスナービールの前に腰を据えると、さっそく隣のおじいさんが僕に声を掛けてきました。
「君もサッカーを観るのかね?」
「はい。フランクフルターですから」
両チームの選手が入場してきて、長谷部誠選手が出場しているのを確認。すると、またおじいさんが話しかけてきます。
「僕もフランクフルトは好きだが、このチームを信用していないんだよ」