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中澤、闘莉王と比較され続けるDF
吉田麻也「同率1位は納得できない」
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byTakuya Sugiyama
posted2018/08/20 11:00
クラブシーンでの実績は群を抜く吉田麻也だが、明確な「1位」を得るまでは納得することはないだろう。
史上初のベスト8を目前にして。
7月2日、吉田は「史上初のベスト8に進んだセンターバック」になる絶好のチャンスを迎えた。ラウンド16のベルギー戦、52分を終えて2-0のリード。ところが、ご存知のとおり、ここから3ゴールを奪われ逆転負けを喫してしまう。
この要因について、吉田はNumber959号でのインタビューでこう語っている。
「2-0になったとき、正直、ヤバいと思いました。これまでの傾向からして、2点リードすると守りに入ってしまうから。日本は、チームとして相手をいなしながら時間を進める戦いが得意じゃない。
2006年ドイツ大会のオーストラリア戦でも、先制しながら終盤の8分間で3点を奪われています。W杯のような大きな大会で、2度も同じような逆転負けを経験している。これは、技術的なこと以上に、精神面が影響しているんじゃないかって思うんです。
今回ベスト16に進んだことで、来年1月のアジアカップは、期待された状況で戦うことになるはずです。期待された中で、結果を出す。僕らがそういう『勝者のメンタリティ』を身に付けるには、まずアジアカップを獲り返すしかないと思っています」
「僕は欲深い人間なので(笑)」
ベルギーには敗れたものの、吉田は「W杯でベスト16に進んだセンターバック」の1人となった。もしも今、『センターバック総選挙』を実施すれば、吉田が1位に輝く可能性も高い。
しかし、本人は首を横に振る。
「僕自身が認めていないんですよ。やっぱり、ベスト8に入らないと。同率1位じゃ、納得できないなって。僕は欲深い人間なので(笑)」
中澤、闘莉王とチームメイトとして戦うことができなかった吉田にとって、若手が台頭し、代表チーム内で競い合うことは、待ち望んでいる状況だ。
だから、'15年のアジアカップの頃から、“散歩隊”で昌子源や植田直通と一緒になるたびに、「海外挑戦」の意義を語り続けてきた。そしてこの夏、植田がベルギーのセルクル・ブルージュへと旅立った。