Jをめぐる冒険BACK NUMBER
森保一監督が初めて響かせた怒号。
U-21はベトナム戦敗戦で目覚めるか。
posted2018/08/21 11:00
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
AFLO
1点ビハインドで迎えたベトナム戦のハーフタイム、日本のロッカールームに森保一監督の怒号が響く。
「球際のところで負けているぞ! 気持ちの部分をもっと出していけ!」
昨年12月にチームを立ち上げて以来、選手たちに促すように働きかけてきた指揮官が、ここまで怒りを露わにするのは、初めてのことだ。
「ガン! っていう感じで」
前半をベンチで見守った岩崎悠人(京都サンガ)は机を叩く仕草をして言った。
「正直、びっくりしましたね。でも、雰囲気が引き締まったのは間違いないです」
アジア大会のグループステージ第3戦。ここまで2連勝して決勝トーナメント進出を決めている日本の対戦相手は、同じく2連勝を飾り、5得点0失点と同じ成績を残すベトナムである。
ベトナムは日本と同じ3-4-2-1のシステムで、立ち上がりから日本の攻撃のビルドアップを狙ってマンツーマンでハイプレスを仕掛けてくる。
オビと神谷、2人とも悔やんだミス。
問題のシーンが起きたのは、早くも3分だった。
ベトナムの圧力を受けた日本の守備陣からバックパスを受けたGKオビ・パウエルオビンナ(流通経済大)がボランチの神谷優太(愛媛FC)に縦パスを入れる……。
が、この時点で神谷もすでに相手ふたりから狙われていた。
パスを受けた神谷はターンしてかわそうとしたが、トラップミスしたところを奪われ、簡単にゴールを許してしまうのだ。
「僕の責任です。周りを見ていた隙にイレギュラーバウンドしてトラップミスをしてしまった」
神谷はそう振り返ったが、神谷が狙われていることが分かっていてボールを預けたGKにも責任はある。この場面について、オビの狙いはこうだ。
「あの場面、優太が前を向けなくてもいい。リターンでもいいと思って出した。試合の入りだったので、テンポを作れれば、と思って。でも、受け手にはリスクのある状況だったので、大きく蹴ればよかった」
たしかにオビは神谷からのリターンを受けようと、その瞬間ゴールマウスから離れたが、その動きによってシュートコースがガラ空きになってしまったのは、皮肉だった。