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鳴尾浜と甲子園の、はしご観戦!
“平成最後の夏”を堪能する野球旅。 

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中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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photograph byYasutaka Nakamizo

posted2018/08/19 11:30

鳴尾浜と甲子園の、はしご観戦!“平成最後の夏”を堪能する野球旅。<Number Web> photograph by Yasutaka Nakamizo

タイガースファンだけでなく多くの野球ファンが憧れる地“タイガース・デン(虎の穴)”。二軍試合の観戦無料は、球団に感謝しかない!

なぜあの選手がここに……の二軍戦。

 スマホで確認すると気温は33度。

 猛暑日ではないが、日射しを遮る屋根がないので座っているだけで汗ばんでくる。

 三塁側上段になんとか空席を見つけ、駅で買っておいた生ヌルいスプライト片手にスコアボードを眺める。

 それにしても、両チームのスタメンに知った名前が並んでいる。

 阪神の1番DHは江越大賀、3番ライトに'16年新人王の高山俊、先発マウンドにはソフトバンクから期限ギリギリの駆け込みトレード移籍の飯田優也が上がった。

 対するオリックスの4番DHは昨季一軍で20本塁打を放った年俸1億900万円のマレーロ、5番捕手はDeNAからトレード移籍してきた高城俊人だ。

「過去の自分」と決別する場所。

 プロ野球二軍戦は意外な再会の連続である。

 阪神の2番ファースト荒木って、あの日大三高の荒木郁也じゃねえか……。今年で30歳になり、高校球児の思い出が詰まった甲子園からすぐの鳴尾浜でプレーしている。

 両チームの選手たちは基本的に野球エリートだ。ほとんどが名門校や社会人有名チームを経て、ここに辿り着いた。

 何の職業でも、20代後半あたりで夢が終わり、現実が始まる。数年間働いてみて、自分にできることは何か、真剣に未来を考え己の才能と向き合うハメになる。

 二軍戦は野球エリートたちが、「過去の自分」と決別する場所なのだ。

 アマ時代の栄光の記憶を捨て、プロでサバイバルする術を学ぶ場所。

 彼らは炎天下で泥と汗にまみれて新たな何かを掴み、同時にチャンスも掴む。高山が打席に入ると、背番号9のユニフォームを着た少年が声を嗄らして「かっ飛ばせ、タカヤマァァァ!」なんて絶叫する。それは「頼むでホンマ、早く這い上がってくれや」とも聞こえた。

【次ページ】 甲子園との野球ハシゴ観戦。

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