“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
新潟・早川史哉、ついにピッチに!
白血病からの復活と心の葛藤を告白。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/07/25 07:00
ユースの選手たちと練習で汗を流す早川史哉。プレーのキレは十分回復しているように見える。
着実に身体はでき上がってきている。
コンディションは確実に上がってきている。
昨年12月にトレーニングを開始したときは58kgだった体重も、筋肉の増加と共に68kgにまで増え、技術的な面でも多彩なプレーができるようになってきた。
今年3月からチームのU-15、U-18の練習に参加し、今では週1でトップチームの練習にまで参加できるまでに回復している。まだ持久力の面では厳しいが、短い時間ならば普通にプレーができるようになってはいる。だからこそ、本間の引退試合に出場することができたのだ。
頑張れば頑張るほど、少しずつ前進を実感することができる。しかし、それと同時により厳しい現実をも突きつけられることにもなる。
「トップの練習で痛感するのは、どうしても体力の面で他の人よりいっぱいいっぱいで、キツいということ。
具体的に言うと……例えば1対1で並走しているときです、ファーを消しながらニアにシュートを打たせることは“アリ”なのですが、そこに追い込む前にキツいから足を出してしまって、切り返されてノーチャンスになってしまうシーンがあった。
人間ってどうしても精神的に楽をしたい生き物なんだなと痛感するほど、弱い自分がプレーに毎回出てしまう。ディフェンスとして、キツいからタックルに逃げてはいけないと頭では分かっていても、いざそのシーンになると足で行ってしまう自分がいる。それが本当に情けないし、悔しい。本来の自分じゃないと分かっているけど、これが現実の自分。このギャップは悩んでいるというか、苦しい部分です」
嬉しさも辛さも表裏一体で……。
取材を続けるにつれて、どんどん見えてくる彼のジレンマ……。そして話は本間の引退試合の話題に及んだ。
「ピッチに立てて嬉しい思いもあるけど、よりもどかしくなったんです。
早く復帰したい、しなきゃという欲が出てきた。いろんな思いって表裏一体で、嬉しいと思うことがあれば、反対の感情も芽生える。その比重というか、バランスは凄く難しいと感じています」