“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
新潟・早川史哉、ついにピッチに!
白血病からの復活と心の葛藤を告白。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/07/25 07:00
ユースの選手たちと練習で汗を流す早川史哉。プレーのキレは十分回復しているように見える。
「みんなの練習の足を引っ張ってしまう」
呼吸を整えてから、既に始まっていたパスコントロールの練習に参加。そこからは鳥かごやミニゲームをこなして、練習をフルにやりきることはやりきってみせた。
「ダッシュのときは『まずい、ついていけない』と思っていました。僕はまだ練習に特別に参加させてもらっている身なので、毎度毎度フィジカルトレーニングでついていけなくなるのは申し訳ない気持ちになります。自分がみんなの練習の足を引っ張ってしまっているようで……。
でも、申し訳ないと思う反面、それでもやりたいし、やらないといけない、とも思っているんです」
「髪の毛、まつげ、眉毛が全部抜けたときは」
練習後、彼は少し疲労の色を見せながらこう語った。プロ復帰を目指す24歳の彼が高校生にダッシュで周回遅れとなり、フラフラになる姿は見ていて辛かった。それを素直に伝えると、彼はこう返してきた。
「周りからしたら、もしかすると『無様な姿を見せて恥ずかしい』と思われるかもしれない。でも、この病気になってから、正直『恥ずかしい』と言う言葉があまりなくなりましたね。
一回どん底まで行ったので、こうして走れているだけでも大きな前進なんだし……病気になって、容姿のことで言ったら、髪の毛、まつげ、眉毛が全部抜けたときは、人前にすらあまり出たくないっていう辛い思いもしましたし。
あの恥ずかしさに比べたら、それ以外のことは小さく思えると言うか……何とも思わなくなりました。
その代わり、最後までやりきろう、自分のペースで良いからとにかく目の前のことをやりきりたい、という思いが強いです。それが僕の責任だし、『やりきる姿』を彼ら(U-18の選手達)に見せないと、僕があそこにいる価値そのものが無くなってしまいますから」