“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
新潟・早川史哉、ついにピッチに!
白血病からの復活と心の葛藤を告白。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/07/25 07:00
ユースの選手たちと練習で汗を流す早川史哉。プレーのキレは十分回復しているように見える。
プロとして、より多くを求めてしまう。
病気になってからずっと待ち望んでいたことが、思わぬ形で実現した。
見たかったピッチからの風景を見てしまったが故に、彼の心の中にプロとしての大きな欲望が明確に芽生えた。
人間は少しでも満たされることがあると、次の不満足を探してしまう生き物なのだろう。それがプロフェッショナルという普通の人よりも高い立場であれば、なおさらだ。
「正直、ちょっと無理している部分もある」
「やっぱり一度あの場に立ったら、今まで以上に『リーグ戦のピッチに立ちたい』と強く思うようになる。
勲さんも最後の挨拶で『ビッグスワンに早川選手が戻ってきました。まだ彼の本当の目標はきょうのピッチに立つことではなく、このビッグスワンのピッチでリーグ戦の舞台に立って活躍することです』と言って下さって、より目標が明確になったというか、目標に対する強い思いを持てるようになった。勲さんには感謝しかありません。
だからこそ、試合中に純粋にサッカーを楽しむ自分がいる反面、プレー中に『キツいな』とか、『俺はまだこんなこともできないんだ』って、現状を思い知らされる瞬間もありました。
正直、トップチームの練習に参加できるようになるまでは、漠然とした復帰への思いがあって、『今はまだ焦らなくても良いな』という思いがありました。キツい練習があったら、無理するところじゃないなと緩めたこともあった。でもここ最近はちょっとずつそういう思いを越えて、『もっとやってみよう』という欲と、アスリートとして『101%を目指す』ことへのトライの気持ちが芽生えてきて……。しかも勲さんの引退試合でそれがより強くなった。
でも正直、ちょっと無理している部分もある。その無理が本当にプラスなのかという不安もあるし、下手したらオーバートレーニングになってしまう。本当だったら休憩を取りながら徐々に右肩上がりで持っていくべきところ、結果として平行、もしくはそれ以下になってしまうんじゃないかなという不安もある。凄くその折り合いが難しくて……」